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加速する中混ざる変化
小さな部屋に飛び交う弾幕。
俺は今弾幕ごっこをフランとしている。
互いに能力の使用を禁止にしている。
フランの「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」と俺の「他者の欲望を叶える程度の能力」じゃ勝負にならないからだ。
「禁弾:過去を刻む時計!」
「それめっちゃ使う…やんッ‼︎ちょっとぐらい俺にも攻撃の隙寄越せや!叶符:願いの周り歯車」
まだらに乱射される弾幕。
欲望が強い者程追尾力が高くなる俺のスペルカード。
あいつらとする時もこの「願いの周り歯車」は結構使う。
利便性がとてつもなく高く、基本これを使っていれば勝てる程アレンジも効く優れスペルだ。
「本気でやってるんだから攻撃の隙なんて与えるわけないでしょ?」
「ふはw、それもそうやな?封忌:滅んだ世界の願うもの」
「でしょう?でも頂戴と言う割には結構スペル打つじゃん!禁忌:カゴメカゴメ!」
まるで獲物を捕まえるかの様に網状に降りかかり、僅かな隙を見つけて通り抜ける。
本気の弾幕ごっこ何て本当に久しぶりだ。
付き添いで来ることはありつつもその時はレミリアと談笑しながら戦闘を見ているだけだった。
こうして戦っていく内に体が思い出して行く。
スペルはまだまだある。
こうして戦闘に持ち込んでフランの欲望を聞けばそれを叶えるだけなのだ。
「ちょこまかと…足止めしてあげる!禁忌:恋の迷路!」
「んな"、反射避け弾幕俺嫌いやねんけど!封忌:邪悪魔の遊び方、ッ!」
円状に広がって空いている所を通りつつ近づくどころか遠のいて行く。
フランの技はきっと能力と上手く連携が取れる様に作られている。
それなら自分ももっと対抗するまでだ。
「禁忌:レーヴァテイン!」
「接近戦行くかぁ、俺の場表に来て大丈夫か?封忌:マースキーパグリア」
「もっと遊びましょう‼︎」
弾幕から近接戦へ。
暴れすぎてもう壊れかけている地下部屋。
そんなのお構いなしに遊びを続ける。
もはや限度なんてものは無くなっていた。
段々面白がって度がすぎて来た。
フランは能力を使おうとしているのに俺は気付かずずっと弾幕を撃ち続けていた。
手が握られる瞬間、
俺の撃っていた弾幕が全て消え、部屋も全て元通りになった。
訳がわからず頭上にはてなを浮かべる俺とフラン。
「危なかったっすわ…」と馴染みのある声が聞こえ、振り向くとshpがいた。
フランの能力と俺の弾幕を全て変えた様だ。
「何で…何でここにおるんやshp桾」
「勘っすよ。1800年以上ずっと死を追い求めるあんたならやりかねませんし。フランさんも簡単に騙されんでください、強欲の悪魔に」
「sha…死んじゃうの?壊れないんじゃないの⁉︎」
「壊れへんよ。死にもせぇへん、そんな体が嫌になったからフランのとこ来たんや。フランの欲望聞けたらその勢いで殺してもらおと思ってんけどなぁ…」
「私嫌だ、shaがいないなんて絶対に嫌だよ。お姉様と仲良くしてくれる数少ない人だもの、絶対に嫌…。殺したくもないし殺されたくもないの」
「…もう、2000年も幻想郷におるんや。死にたくなるのも当然。フランの気持ちはちゃんと受け取っとくで、俺が死んでも悲しまんでな?それまではたまに遊んだるから」
俺はそう告げて、フランの頭をゆっくり撫でた。
今にも泣きそうな顔でこちらを見つめる。そんな顔をされると心が痛んでしょうがない。
奥深くにある善意がズキズキと斬りつけられるように痛い。
その様子を見るshpは珍しく急かさなかった。
ただそっと見守るだけ。
フランをロリとして見ているのか、別れ際だから見守っているのか。
その本心は分からない。