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𝙿𝚂𝚈𝙲𝙷𝙸𝙰𝚃𝚁𝙸𝙲 𝙲𝙰𝚂𝙴 𝚁𝙴𝙿𝙾𝚁𝚃
精神医学的症例報告書:検体番号 𝚡𝚡𝚡𝚡
担当医: 精神科主任 𝚡𝚡𝚡𝚡
被験者: 通称 フォボス(重度の恐怖症、予期不安、解離性同一性障害の疑い)
⑴ 入院経緯および初期診察
被験者は当初、正体不明の恐怖心とパニック発作を訴え、当院を`格安のシェアアパート`と誤認して来院。診察室での面談中、被験者は強い対人恐怖を示し、自己の喉を掴むなどの自傷的パニックを呈した。
特筆すべきは、診察中、被験者が`瞼の裏の声`に応答し始めた点である。これは内的対象(イマジナリーフレンド)との解離的融合の開始を意味する。
⑵ 内的同居人`グロック`の発生と特性
被験者の脳内に構築された人格`グロック`は、被験者が恐れる`恐怖による精神崩壊`を`美的感覚`へと変換する役割を担っている。
母性的支配:
グロックは被験者の恐怖を否定せず、むしろ`生きている証`として全肯定する。これにより、被験者は恐怖を感じることに依存し、苦痛と快楽を混同し始めている。
環境の改変(妄想的隔離):
被験者は、隔離室内の安全措置(鏡を隠す布、角のない備品など)を、すべて`グロックが自分のために施した献身的な配慮`として解釈。この認知の歪みが、被験者を自閉的な理想郷(エデン)へと閉じ込める結果となった。
⑶`甘やかし`という名の解体
グロックによる接触(髪を撫でる、首を絞める寸前の抱擁)の描写から、被験者の自己境界が消失していることが伺える。`母の温もり`と`死体への手つき`を同時に感じるという感覚は、生存本能が恐怖に上書きされた状態を示唆している。被験者はグロックを介してしか自己を肯定できず、恐怖を`安らぎへの扉`と見なすに至った。
⑷ 現実喪失と正体への接近(観察記録:202X年 X月 X日)
被験者が窓(外部世界)に興味を示した際、グロックは`繊細な恐怖を守るため`という名目で、外部への敵意と閉鎖の継続を再確認させた。
しかし、本日の観察において、被験者は「グロックの声は聞こえるが、姿が見えない」という不一致に直面。
考察:
被験者は無意識下で、グロックが自己の投影(自作自演の防衛反応)であることを察知しつつある。だが、これに完全に気づくことは、彼を支える唯一の`理想郷`の崩壊を意味する。
⑸ 診断と今後の予測
被験者は`恐怖症恐怖症`(𝙿𝙷𝙾𝙱𝙾𝙿𝙷𝙾𝙱𝙸𝙾)を克服するのではなく、`恐怖症に恋をする`(名:𝙿𝙷𝙾𝙱𝙾𝙼𝙰𝙽𝙸𝙰)ことで精神の安定を図っている。
今後、彼が`グロック=自分自身の渇望`であると認識した瞬間、被験者の人格は完全にグロックに統合されるか、あるいは理想郷の崩壊に伴う致命的なパニックに陥る恐れがある。
【附記】
被験者が`グロック`と呼んでいる存在は、我々医師団には見えない。彼は独りで鏡の布を撫で、独りで自分の首を絞めながら、この上なく幸福そうに震えている。
今後の予定として、被験者が新たな内的対象(イマジナリーフレンド)を発生する可能性が危惧される為、別室への移動を要請する。