魔物が悪なんて誰が言いました？#19

カリー視点 小屋に入ると地下への入り口があり、そこを突き進んで数分経った今。 人の気配一つ無く、ただ灯が点々と並べられているだけだった。 ラフェル「……全く人いねぇな」 カリー「そうね……一人や二人は居るものだと思うんだけれど…………」 警戒が薄すぎる………。 いや、そんなのじゃない気がするわね……。 純粋神「……とにかく、進んでみよっか」 エス「そうですね」 エル「……………………………」 沈黙が続いたまま歩いて数分が経った。 カリー「………！！」 サリジエ「何か見つけた？」 急に感じた鉄のようなツンとした匂い。 何度も何度も見てきたんだから、間違えるわけがない。 カリー「血の匂いがする…」 純粋神「！！」 エル「…………」 エス「スン……本当ですね…」 ラフェル「……匂いが濃い…近いな……」 カリー「……28人……」 サリジエ「え？」 エル「…………」 ラフェル「何がだ？」 カリー「…少なくとも28人の血の匂いがするわ」 昔からの嗅覚には自信があり、ラフェルの言うように血の匂いが濃い。 しかし、それは距離が近いからだけではない。 何人もの血の匂いが重なっているから更に濃く匂うだけだ。 純粋神「28……それなりに多い数だね……」 サリジエ「でも、なんでそんな多いんや…？」 カリー「さぁね。とにかくそこに行ってみましょうか」 考えたくはないが、ピアちゃんがここにいるのが確定している今、巻き込まれている可能性だってある。 カリー（お願い、無事でいてて……） --- カリー「この奥ね」 少し進んだ先には大きな両扉があった。 __「～～～～！～～！！」__ 　　__「～～～、～～」__ __「～～～！！！～～！」__ __「～～！」__ 純粋神「……人がいる…？」 ラフェル「………」 カリー「入るわよ」 サリジエ「ん……」 バタン‼‼‼‼ 「「「！？！？」」」 中に入ると、戦いをしているようだった。 しかし、一瞬見ただけでも優劣は一目でわかった。 ？「ん？」 ？「なんか来たんだけど、お前らの差し金？」 見るからに優勢の奴らが私達に気づき、不思議そうに見て血だらけの人間に聞いている。 「え"っ……あ、あぁ！そうだ！！」 カリー「……は？」 何言ってるの？頭おかしい？劣勢すぎて頭おかしくなった？えぇきっとそうね。 「おい頼む！！俺を助けてくれ！」 クリス「……自分勝手……」 ？「君達こいつ助けなくていいの？仲間なんでしょ？」 サリジエ「ええよ。仲間じゃないねんから」 「ちょっ！！？」 サリジエがキッパリと言ってきれたおかげで変な誤解をされなくてよかった。 ？「ふーん……じゃ、先に君の処理からね」 「！まっ！？」 ？「地獄で反省するがいい」 ザシュッ！！ 「あがｯ……………」 刀を持った男が相手の首を切り落とした。 カリー（一切躊躇わずに………） ？「それで、あいつらは？」 ？「仲間じゃないなら、見逃してあげてもいいんじゃない？」 ？「ここで殺すべきだろ」 ？「そうだな。その通りだ」 ？「では、そうしましょうか」 相手は再び戦闘態勢に入り、こちらを殺意に絡んだ目で見てくる。 カリー「ﾁｯ…………」 厄介ね。 相手とこちらの数は同じ。 あいつらはある程度の強者だったとしても、一対一で相手にするなら問題はない。 でも、相手の全体の戦力、というか、仲間の戦力さえ完全に把握出来ていない。 カリー（ディーアが来るまで、持ち堪えれるかしら………） こんな事になるなら、もっとちゃんと準備しておくものね…………。 サリジエ「どうする？」 純粋神「なるべく時間稼ぎしないとだね。ディーア達がここに来てくれるといいんだけど…………」 エス「……………ﾁﾗｯ」 エル「ﾁﾗｯ……………」 カリー「ラフェル、物を壊さない程度になら暴れれるかしら？」 ラフェル「加減と期待はあんま応えられんが…やってみるわ」 カリー「頼んだわ」 出来ることをするしかないわね。 ？「……話はまとまったのね？」 カリー「えぇ、待ってくれてよかったの？」 ？「いいよ。こっちもまとまったし」 ？「…………行くぞ」 その合図とともに、争いの火蓋は切られていった＿＿