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2-3 頑張ったんだね
桔梗の部屋で隼人を待ち続けるようになり、もう2ヶ月が経っただろうか。
最初は一週間に一度程度だったはずが、次第に五日に一度、三日に一度、二日に一度と頻度は増える一方。
合鍵で家に入り、ベランダで横の部屋に隼人がいることを願う。
だが、ベランダに隼人がいることをまだ感じられていない。
ニ、三時間かけ小説を一冊読み終わることでその日は終わる。
でも、その中で分かったこともある。
隼人が住んでるのは、隣の部屋。それがわかったので、チャイムを鳴らそうかと、何回も考えたことがあったが、表札を見て、いつかの記憶が思い出したのだ。
その時、初めて隣の隣の住人が、隼人ではないことを願った。
「幼馴染さん探しは順調?」
ガラガラ、と窓が開き、夕飯と後片付けが終わったであろう桔梗が綺麗に握られたおにぎりを三つ持ってきた。
桔梗は隼人という名前を知っているのにもかかわらず、幼馴染さんと言い続けた。呼び慣れていたからそのままなのか、あえての理由があるのか、私には分からない。
「全然。窓が開く音すらしない」
そういうと、桔梗は少し苦笑した。
「そっか。あれから引っ越しちゃったのかな」
「それだったら良いんだけどなぁ…」
「え?幼馴染くん住んでたら嫌なの?」
こんなに探してるのに、と聞いてくる。
「表札が『早瀬』だった」
そう言うと、意味がわからないと書いているような顔で私を見つめた。
「…生き別れの兄妹?」
「違う。父親の不倫」
「は?」
これからの人生、これほど桔梗と息が合うことはないだろう、そんな事を考えてしまう程に心地よいテンポだった。
「表札見て思い出した。施設に入ってから一回団地言ったっていうの覚えてる?」
聞くと桔梗はコクリと頷く。
「その時、団地の奥さん達に聞いちゃったんだよね。私のお父さんと、隼人のお母さんが不倫してたから、お母さんがああなったって。それで三人でどこか行ったんじゃないかって」
そう言うと、桔梗はそっと近づき、私のことを抱きしめた。
「紗絢、頑張ったんだね」
桔梗は一言そう呟くと、ギュッと強く抱きしめてくる。
なんで、気持ち悪い、前はそんなこと言わなかった。咄嗟に私の頭に思い浮かんだ言葉たち。
恩を仇で返すような気分がして悪いが、いつかの女性警官のような、そんな気持ち悪さを感じてしまった。
「ごめん」
桔梗はそんなこと言う人だと思っていなかった。
桔梗から走って逃げ、部屋を飛び出すと、人にぶつかる。
「あ、ごめんなさ…」
顔を上げると、そこに居たのは隼人だった。
なんかこの話納得いってない…。
最近まじで小説書けなさすぎるんで、来週更新なくてもスランプかね?って思っていてください…!