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明日私が消えたとしても
たまには時事ネタで書いてみました。
「明日どうなるんだろ」
帰り道、ポツリと呟いた。
「あぁ、巨大地震が来るってやつ?」
一緒に帰っていた幼なじみの菜津が聞いてくる。
「そう」
「信じてんのー?ガキだね」
「だって、1回聞いちゃったもんは怖いだろ?」
「…死ぬのが怖いの?」
「うん。それ以外怖いことあるか?」
「好きな人が死んじゃうかも!とかさ。1番に自分が心配なんて、そんなこと思うから優弦はモテないんだよ」
「へぇーへぇー。自己中ですいませんね。菜津さんは死ぬのが怖くないんで?」
不貞腐れて菜津に質問を返す。
「うん。怖くないよ」
間髪入れずに答えてくる。
「なんで?」
「だって、もっと怖いことがあるから」
「もっと怖い、こと?」
「うん。もっと怖いこと」
「それ、何?」
聞いても良いのか、少しの間考えたが、やっぱり気になってしまう。
「…それ聞いちゃう?」
「ダメだったか?」
「いや、別にいいんだけどさ」
菜津は一呼吸置いて口を開いた。
「…優弦の声が聞こえなくなることだよ!バーカ!」
「俺の声が聞こえなくなる?俺が死ぬこと?」
「ん〜、そうだけどそうじゃない!鈍感!」
「は?じゃあ、なんで俺の声が聞こえなくなるんだよ」
菜津の言う事が全く分からない。どうせ俺は鈍感非モテ男ですよ。
「だぁかぁら!そのまんまだよ!あたし、耳聞こえなくなんの!」
菜津は言ってしまった、というように顔をしかめる。
「は?耳が聞こえなくなる?」
「…そう、突発性難聴ってやつ。あたしの耳は、今もちょっとずつ、耳が聞こえなくなってんの」
身体の中を衝撃が走る。
耳が聞こえなくなる?なんだよそれ。今まで1回もそんなこと言ってなかったじゃねぇか。
「…それの方が、死ぬことより怖ぇの」
「うん」
「なんで?」
「だって、今死んだらさ、最新の優弦に声が付いてるんだよ。このまま耳が聞こえないままズルズル生きたら、死ぬ時に優弦の声がもう思い出せないの。思い出せたとしても、きっと、声なんて年取ったら変わってる。そんなのヤじゃん」
「…なんで死ぬ時に俺を思い出すんだよ」
笑って茶化そうとするが、
「そんなの決まってるじゃん。優弦のことが好きだからだよ」
本日2度目の衝撃。
そんなことを当たり前のように言ったアイツは、「なんで今日は色々言っちゃうんだろ。明日死ぬかもしれないからかな。他の子にはヒミツね」と笑っている。
「これでもし、明日あたしが死んでも、優弦の記憶には残るね」
「は?」
「明日で死ぬかもしれない…!そんな日に告白してきた幼馴染、なんて走馬灯に出て来てもオカシクない濃いエピソードでしょ」
そう言って笑う菜津にだんだんイラついてくる。
「…なんでだよ」
「ん?なんて?」
「なんで俺は、お前を忘れる前提なんだよ!」
「え?」
「俺だって、明日、お前と会えなくなるのが怖ぇんだよ!」
「…え、それって、あたしのことが、好きだ、ってこと、?」
「そうだよ!ずっと前から好きだったよ!こんな時じゃねぇと言えねぇヘタレで悪かったな!」
そう言うと、菜津は笑う。
「は?なんだよ」
「だって、そんなのずっと前から知ってたし。そういうヘタレな優弦くんが菜津ちゃんは好きなんですよーだ」
帰り道。家まであと少し。2人の距離が少しだけ縮まる。
自然と2人の手が繋がれる。
「明日、会えるかな」
「どうだろうな」
今日、日記見てたら、みんなこの話題だったので、そういえば明日かぁ、みたいな感じで。
最初は日記書こうと思ったんですけど、自分の感想書くの得意じゃないので、それなら小説書いてキャラに言わせちゃおう!的な。
いっつもは、書き始める前にオチまで全部決めて、1回方眼用紙に書いたりしてるんですけど、今日は、ここに初めて直書きしまして。
なので、ちょっとおかしいとこあるかもしれませんが、まぁ御愛嬌的な感じで!