はなこと物語 (7) サツキと桃の花

「…なんか最近桃花さ、ずっと私とくっついてるよね」 ぎくっ。 さつきは昔から勘が良いけど…そこまで分かるんだな。 私がさつきにくっついているのは理由がある。 「さつきが好きだから」。 友達的な意味じゃない。恋愛的な意味で…だ。 こんなこと、澄玲お姉ちゃんには相談できない。 気持ちを明かすか、ずっと隠し通すか。2択だ。 もし気持ちを明かすとしたら、さつきに分かってもらえるかが問題だ。 「そ、そうかな～？気のせいじゃないかな？」 「怪しいなぁ。まあいいけど」 ほっ、深掘りされなくてよかった。 --- はあ～、やっぱりモヤモヤする。 お姉ちゃんに相談するのも気が引けるし… 杏莉お姉ちゃんに相談しようかな。 でも多分分かってもらえないな… こんなにモヤモヤしたままじゃダメだ。 思いきって澄玲お姉ちゃんに相談しよう！ 「す、澄玲お姉ちゃん…」 「桃花じゃん。どうしたの？宿題分からないとか？」 「いや、宿題は終わったよ。相談があって…」 「相談？中１だし、いろいろ悩みあるよね。」 そして私は、澄玲お姉ちゃんにさつきが好きなことを明かし、 どうしたらいいのかを相談した。 「さつきちゃん…って、つつじの妹だよね？」 「う、うん。」 つつじちゃんは、さつきのお姉ちゃんであり 澄玲お姉ちゃんの同級生だ。 「同性が好きな気持ち、分かるよ」 **「えっ？！」** 「私もね、菜乃花が恋愛的に好きな時があったの」 「菜乃花…ちゃんを…？」 「うん。それでね、思いきって好きって言ったの。桃花も言ってみたらどう？」 「そうだね！ありがとう！」 澄玲お姉ちゃんも同じ経験があったのは予想外だけど、 相談したらなんとなくスッキリした。 --- 「あの、さつき…。私、恋愛的な意味でさつきが好きなんだ」 「え、っと。実は私もっ、」 「桃花のこと、《《恋愛的》》に好きだった」 「さ、さつきも？！」