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声の色彩
金平糖
超短編!
その他部門?
これは、今から少し先の未来のお話。
この時代は、声が形になり、見えるようになっていた。
声が形になった後のものを処理する場所で働く青年ハル。「今日も暇だなあ」
センターには誰も来ないので、ひとりで暇な時間を過ごしていた。
そんなある日、同じ年頃の一人の少女がハルの前に現れる。名前はルナ。
彼女の気配に気づいたハルはあいさつをした。
「こんにちは、ここには何もないんだけど、何しに来たの?」
彼女は何も言わず、手を動かした。手話だ。
手話からも、実際に発した言葉よりかは弱いが形が見える。
「いろんな声を見に来たの?」ルナは首を縦に振った。
それから、ルナは毎日センターに通った。
そうして、二人は心が通い合っていく。
その間でも、ルナは一言もしゃべらなかった。
そこで、ハルはルナの代わりの声になった。ルナの言っていることをみんなに伝える。
それでも、ハルはルナの声を聴いてみたかった。
「ねえルナ、なんでしゃべらないの」これは、ハルが今まで聞いてみたかったけど
聞いたらルナが傷つくと思って聞かなかったこと。ある日、ついに聞いてみた。
「私、病気で。あとすこししかしゃべれないの。」やっと声に出して、驚きのことを言った。
その時、ハルもルナの代わりをしていた影響か声が出にくくなっていた。
『じゃあもういったらだめだよ!君の声がなくなっちゃう!』
ハルは必死に手話で伝える。それでも、ルナは口をふさがなかった。
「私さ、昔歌手になりたかったんだけど、のどを壊して病気になった。」
「本当にルナ、だめだ!」ハルは限界を超えていて、大きくせき込んだ。
「ごめんハル!私のせいで…!」
「違う、僕の声より、ルナの声のほうが大事だった。」
「ハル…!」ルナは目から涙があふれて、頬を伝った。
「…最後に、言いたいことがあるんだけど。」
「私も…。」二人は、お互いの顔を見つめた。
『愛してる。』
夕方の砂浜に響く小さな二人の声。
ついに二人の声は消えてしまい、その形は空へ静かに登って行った。
その形は、儚く、美しい淡い色だった。
それから数年たった。二人が住んでいるのは、静かな狭くて落ち着く家。
声は何も聞こえない。
聞こえるのはただ、二人の生活音だけ。
それでも二人は幸せだった。