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4 百年 光架
|百年《ももとし》 |光架《みつか》。大好きなパパが付けてくれた名前。
パパは鍼灸のお店をやってた。パパはたくさんの人を笑顔にしてた。私もそう。
当然のように、私がパパのお店を継ぐんだと、そして、パパとずっと一緒にいれるんだと思ってた。
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倉庫から銃声が聞こえてきた。
あ、花ちゃん、ちゃんとできたのかな。
苺ちゃんたちに連絡するのは、花ちゃんが出てきてからにしよう。
赤衣「眠り姫ちゃ~んっ♡」
百年「あ、赤ずきんちゃん。出てくる前に、ちゃんと返り血拭いてこないと」
赤衣「だってぇ~っ、早く眠り姫ちゃんのお仕事見たいんだもんっ!」
百年「大丈夫、ターゲットは逃げないから。あなたはちゃんと|奈々《なな》ちゃんを怖がらせないようにしなきゃでしょ?」
持ってきていたタオルで、花ちゃんのそこかしこについた血を拭き取る。
夜9時。奈々ちゃんくらいの年齢の子は、もうそろそろ寝る時間。
今から私が殺しに行くのは、娘を虐待している女。なかなか酷いことをしているのは、保護対象として依頼主から届いた奈々ちゃんの写真で分かった。
私は今から、あいつと同じことをする。私の人生を変えた、あいつと。
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鍵をいじって解錠している間も、夜の10時だというのに、女の怒鳴り声と奈々ちゃんの泣き叫ぶ声が聞こえてきた。なぜ近所の人は警察に通報しないのだろうか。
音もなく鍵を開け、静かに中へと侵入する。
声の方向を頼りに進むと、1つの部屋から光が漏れていた。
百年「赤ずきんちゃん、……ゴー」
私は思い切り部屋の扉を開けた。
その一瞬、一般人である彼女らに見えたのかは知らないが、花ちゃんが部屋に素早く侵入し、奈々ちゃんを部屋の隅に攫った。
それに続いて、私の番。部屋の入口から、一直線に女の“そこ”を狙った。
パパがいつも言ってくれていたことがある。
店を継ぎたいと言い張る私に、パパは「人が死んでしまうツボ」があるんだと話してくれた。
「このツボは、誰かを助けるためだけにしか使ってはいけないんだ。それ以外のことに使うと、悪い悪魔に連れてかれるよ」
私は、人を殺すときは必ず、このツボを針で刺す。
人を助けるために使っているのだから大丈夫、――それに、もし私用で使うときに来るはずの「悪い悪魔」なんてのは、あいつしかいないから。
1mmの狂いもなく、私の手に握られた針は、そのツボを貫いていた。
女は目を見開いたまま力なく膝から崩れ落ちた。いつも通り出血はほとんどなく、もう息は絶えていた。
百年「……ふぅ」
奈々「……あの、おねーさん」
百年「ん?どうしたの?」
奈々「たすけてくれて、ありがとうございます……っ!わたしも、おねーさんみたいなカッコいいヒーローになりたいです……‼」
少女の純粋な目。
けれど、
百年「――お姉ちゃん、ヒーローになりたいんじゃないの。大好きな私のパパを殺した奴に、復讐したいだけ」
13年前の夏の夜、私のパパは殺し屋の男に殺された。
私はあいつに復讐するために同じ業界に入り、必死にあいつの居場所を探している。
私はヒーローなんかじゃない。
書きすぎた
人が死んでしまうツボ?そんな(以下略)