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スパークル。
春の青空に浮かぶ太陽かのように煌めいていたあの恋。
でも、消えていってしまった、のだろう。
ただ、一つの桜の花弁みたいな恋の行先は。
まるで、絶叫系のコースターか何かで落ちていってしまうみたいな、衝撃だった。
あの目、この目、二つの目線の先が重なり合った時、数秒にも満たない一瞬のこと。
「私なんかに告白されたら、きっと困らせちゃうし……」
放課後、彼が帰った教室で私は友人にそう話した。
そんな配慮という名の先延ばしを口走ってしまう。不安半分の好きという気持ち、なぜなら崩れていくものばかりが目に見えていたから。
その後、私は、帰りの電車の窓から黄金色の空を見上げた。彼を好きなのは私だけじゃない、のなんて当たり前なのに、勝手に妄想を浮かべた理想にのぼせてしまった頬を窓にぴたりと当てた。
夏の夜空に浮かぶ花火かのように煌めいていたあの恋。
でも、消えていってしまった、のかな。
ただ、一つの早く散ってしまった青葉みたいな恋の行先は。
私には、もう、行先なんて分かっていたんだ。
去年の夏休み、彼と偶然出会った花火大会を思い出す。ほんの一瞬だったけれど、今の紺色の空に浮かんだ花火、花火ではなく、彼の横顔へと目線が行ってしまった。その時に浮かんだ「好き」なんて二文字、
彼には言えなかった。
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同じクラス、近い席の位置。近くに居るはずなのに、彼はいつも、髪の毛をポニーテールにした女子の方を見ていた。
「本当の君が知りたい、なんて私は言えないのにね」
私は友達に向かってそういった。
友達は、私に告白したら、と提案した。行先は結果に見えているの、なんて言い訳しないでよね、と付け加えて。
そんな言葉を投げかけられたら、もっと彼に夢中になってしまう。彼の好きな人なんてどうでもよくなってしまうから。
せめて、
「まだ側に居て欲しいな」
なんて彼が言ってくれるような、距離感になれたら、いいのにな。
秋と冬の夜空に浮かぶ月と星かのように煌めいていたあの恋。
でも、消えていってしまった、のだ。
夜空を流れるスパークルみたいな星のように、もう既に消え去ってしまったのだ。
彼を見る時、瞬きもしたくない、惜しいの。そんなひと時の幸せを逃さないようにしたいな。
でも、君はいつか、他の人のものになってしまう、と分かってしまう。
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いつでも、どこでも、諦められるはずの恋に、妄想と夢を見続けた結果が、この結末なの?
でも、この妄想という名の夢が、覚めないでほしい、けれど、私は、恐怖も不安も好きを握りしめて、彼を夕方の屋上に呼び出した。
「君が好き」
そんな一つの気持ちだけが、私の嘘でも何もない真実だから、痛くても、辛くても、誰にどう言われようが、変わりやしないんだ。
彼は、「ごめん」なんて言葉を残して、彼の放課後を過ごし始めた。片思いの苦しさも、片思いの愛おしさも、君から知れてよかったな。
思わず、頬を伝う涙、声を上げ、泣き崩れた。
わかっていた行先だとしても、悲しいものは悲しいんだと知った。
忘れられない、忘れたくないあの日々、恋に落ちた意味を覚えていたい。
まるで、絶叫系のコースターか何かで落ちていってしまうみたいな、衝撃だった。
あの目、この目、二つの目線の先が重なり合った時、数秒にも満たない一瞬のこと。
曲名:「スパークル」
引用元:YouTube
作詞・作曲:幾田りら
歌唱:幾田りら