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始まりのチューリップ
この小説を読んできゅんとしてくだされば嬉しいです!
初めて会ったのは小学生の時。
「ねぇ、君、大丈夫?」
日陰で大人しくしていた空気みたいな私に、その人は話しかけてくれた。
……身長が高い……上級生かな?
「えっ!君、大怪我してるじゃん!?保健室行こう?!」
「……大怪我じゃないですよ」
体育の授業中にちょっと転んだだけで……。
「大怪我だよ。血、出てるじゃん。いいから保健室行くよ」
その人は、優しい音色で言った。けど、その言葉はどこか心強かった。
私は……クラスメイトから避けられてる。
『あいつ地味だし、一緒にいても楽しくないよ』
『あぁわかる〜流行りのコスメの話題振ったけどぜんっぜんのってくんないんだもん』
『さらに《読書の方が楽しい》って気取ってきたんよ?うざ〜〜』
……女子たちの会話はわざと私に聞こえるように話しているみたいだった。
私は人付き合いが苦手で、休み時間もずっと……読書している。
そしたら誰も私に寄り付かなくなった。
だから、怪我した今でも……誰も私のことを『大丈夫?』と心配してくれない。……別に期待してたわけじゃないけど……。
--- でも、ちょっと……悲しい。 ---
だから優しくしてくれた目の前の先輩に、惹かれたのかもしれない。
中学生になった今、あの時の先輩の名前を知った。
--- 松岡健斗さん。私より一個年上。 ---
けど、彼は結構美形なため、いつでも女子たちに囲まれている。
……いつの瞬間でもあれだけの女子に囲まれているなら、きっと私のことなど忘れたに違いない。
そう思い込んでいた。
---
「……綺麗」
私は誰もいない校庭に座り込み花壇に植えてあるチューリップを見ていた。
女子たちがいる教室はなんだか居心地が悪かったから、逃げてきたのだ。
チューリップは美しくて、見ているだけで心が癒される。
--- 私は昔から花が好きだ。 ---
綺麗で、美しくて、それでいて可愛い。
……もうずっとここにいたい。ずっとチューリップを見ていたい。女子達のいる教室に戻りたくない。
……そんな感情が芽生えた。
「ねぇ、君、花好きなの?」
その時、後ろから声がした。
振り返ると、
──松岡健斗先輩がいた。
「っ松岡先輩?!」
「あ、驚かせちゃったかな……ごめん」
「あ、いえ、全然……というか先輩はなんでここに……」
「……はは、女子達に囲まれてるのにちょっと疲れて……俺、花が好きだからさ。よくここにきてるんだ」
……松岡先輩も、花が好き……?
「私も……好きなんです。花」
「え!そうなんだっ、同じだね!」
--- ──弾けたような笑顔でそう笑う松岡先輩は、眩しくて── ---
--- 私はそんな先輩に、恋をした。 ---