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微笑
「__つうかさあ」
彼女は言った。
「斎藤マジウザくね? ふぁい|華月《かづき》すわんプリント配ってくだしゃ〜い、って」
ブッサイクな顔をして、彼女は言う。
「ぶはは、それ物真似? めっちゃ似てる」
「ねえ。ほんとそれ、ほんとウザい」
彼女の友達は下品な笑い方で爆笑していた。
私は心底楽しそうに「あはは」と笑う。
「ていうかさ、明日の英語ってどこ?」
「えっとね、次の単元って言ってた」
彼女の質問に、友達を代表して私が答える。
「嘘じゃん!」
__あ。知ってる。この流れ、知ってる。
彼女は「ヤバい、本文訳してない〜」とどこかわざとらしく頭を抱えた。
そして、言った。
「ごめん、ちょっと写させてくんない?」
ぱんっと手を合わせ、私を拝むようにして彼女は言った。
__ああ、まただ。
「えぇ、華月、こないだも私の写したじゃん〜」
私は嫌の色が柔らかい、これは友達同士のじゃれ合いですという声音を選び、ジト目を向ける。
「ごめんって、これが最後!」
__それ、前もその前ももっと前も言ってたよね。
私は便利な道具じゃない。私はお前らなんて嫌いだ。
お前らは私に何も与えないくせに、〈友達〉だなんて馬鹿らしい。
さっさと消えてくれ__
「__全く、しょうがないなぁ」
私は友達に頼りにされて嬉しいというように、笑った。
けれど、奥底では、自分を嘲るように。
微笑した。