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鳩の国 10話
「ハァ⋯ハァ⋯」
ウノは自分のやったことが信じられなかった。
あの時の感覚を鮮明に思い出す。
その場に座り込むと、どこからか声が聞こえてきた。
「ウノ⋯大丈夫?なにか悩んでるみたいだけど⋯」
「⋯あんた誰?」
「君のもう一人の自分⋯と言ったところかしらねぇ⋯」
「⋯⋯」
「復讐したい相手が死んだ、ならその娘を殺そうとするのは当然だわ。なにも悩むことなんてないの。」
「⋯でも」
「シーッ、⋯⋯私にその体を貸してくれないかしら。そしたら苦しむことも泣くこともないわ、あの時みたいに⋯」
数年前
ウノがいたのは、とある教会だった。
両親は信者に導きをするのに必死で、ウノのことなど気にかけていないようだった。
周りをボーッっと見渡すと、ある少年が目に入った。
その少年は小柄で腕に包帯を巻いていた。
「ねぇ、君の名前は?」
「僕?僕はアンジェロス。君は?」
「俺はウノ、よろしく。」
「教祖様の息子?!話したことがバレたら父親に殺される⋯」
「大丈夫バレなきゃ良いんだから。ねぇアンジェロス、アンジーって呼んでも良い?」
「もちろんいいよ。」
「ねえ、教会にはよく来るの?」
「ううん、両親に無理矢理連れてこられない限りは来ないよ。」
「じゃあ明日来てくれない?また話そうよ。」
「うん、いいよ。」
それから二人は何度か会ううちに、お互いの悩みや秘密を話すほど仲良くなっていった。
しばらくして、毎日来ていたはずのアンジーが来なくなった。
心配になったウノは彼の家を訪ねた。
すると彼の母親が出てきた。
「ウノ様!?何故ここに⋯」
「アンジェロスはどこですか?教会に来ていなくて⋯」
「実はそれが⋯」
アンジーは病院に居た。
「アンジー⋯」
「⋯ウノ」
ウノがアンジーを叩いた。
「⋯なんで一人で抱え込もうとするんだよ!一生一緒にいるって決めただろ!」
「⋯⋯ごめん」
「⋯傷、また増えてるし⋯」
「⋯殴って」
「⋯え?」
「こんな僕を罰してよ!⋯君を置いていくなんてバカな考えするんじゃなかった⋯」
「⋯⋯」
ウノはしばらく悩んだ末、アンジーを力強く殴った。
「⋯ありがとう。」
「⋯⋯」
アンジーが退院してしばらくすると、二人は共に家を出ていった。
二人は貯めたお金で街の小さな家を買った。
その街は強い動物が多く暮らす街だった。
「ねぇウノ⋯またお願いできる?」
「⋯⋯いいよ」
アンジーが自分で自分を傷つけることはなくなった。
代わりに、その役割をウノが担うことになった。
ウノは最初は拒んでいたものの、今は慣れてしまった。
この行為に正義感すら抱いていた。
ある日、ウノがバーでウイスキーを飲んでいると、外がやけに騒がしかった。
出てみると、街全体が燃えていた。
上空を見ると、火炎瓶を落とす鳩とその仲間の姿があった。
急いで家に帰ると、自分の家も激しく燃えていた。
炎の中へアンジーを探すが、炎が激しすぎて結局諦めることになってしまった。
数日後、無惨な姿になった家を探すがやはりアンジーは見つからなかった。
見つかったのは彼の指輪だけだった。
ウノは指輪をしばらく見つめた後、その場に捨てた。
「あの鳩が全てを壊した⋯何もかも⋯」
「⋯どう?貸してくれるかしら?」
「⋯⋯いいよ」
ウノの身体が闇に飲み込まれていった。
一瞬力が抜けるとすぐに立ち、身体の埃を払って乱れた服装を直した。
そしてどこかへ歩き出していった。
自分で書いてて辛すぎる⋯
R15か悩んだけどPG12にしました
豆知識
ウノの家系ってとある国では有名らしいよ