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タイトル案『百樹館クリーン・ナイト』
いつか書くかもしれないし書かないかもしれない小説の設定です。
〈あらすじ(プロット)〉
元自衛官の用心棒・甲斐勇一。彼は、難病を患う妹・笹原夏枝のため、業界で「呪いのブラック案件」とされる依頼を引き受ける。舞台は山奥にある巨大洋館群『百樹館』。
大屋敷黎明の別荘であるこの館は、三つの県の境界が交わる三県境にある。長期化する泥沼の裁判により、行政境界は現在も確定していない。そのため、警察権の行使には「三県警すべての合同同意」という非現実的な条件が必要となっている。
依頼主は、館の「安全な部屋」に引きこもる謎の双子の妹・大屋敷嶺亜。彼女は夏枝の転院先である最新医療センターの筆頭株主だった。依頼内容は、兄・黎明を護衛しつつ、館を勝手に改造・占拠する居候たちを追い出すこと。かつて双子は大手警備会社や専門業者を雇ったが、その度に黎明が業者と衝突を繰り返し、ことごとく決裂していた。
館の総部屋数は三百以上。鉄のプロ意識を持つ甲斐を待ち受けるのは、図面すらあてにならない隠し通路と、個性豊かな住人たち。果たして、この奇妙な「大掃除」が終わりを迎える日は来るのか。
〈キャラクター〉
◯甲斐勇一(かい ゆういち)
元自衛官のフリーランス用心棒。難病の妹・夏枝の治療費と、彼女に寄り添う時間を確保するために退官した。実家の『笹原道場』で培った格闘術と、自衛隊仕込みのサバイバル能力を持つ。義理堅くお人好しだが、現場では契約遂行を最優先する冷徹な判断を下す。黎明の度重なる問題発言を内心鬱陶しく思いつつ、「状況分析の一環」として脳内変換して受け流せる稀有なメンタルの持ち主。
◯笹原夏枝(ささはら なつえ)
甲斐の妹。諸事情により母方の性を名乗っている。未知の難病で、百樹館から車で三十分の医療センターに入院中だが、病状は小康状態。兄の「真面目すぎて損をする性格」を愛している。実は凄腕のゲーマーであり、オンライン上の友達である嶺亜と連絡を取り合うのが入院生活で唯一の楽しみ。
◯大屋敷黎明(おおやしき れいめい)
双子の兄。圧倒的な洞察力で、人の心が半分ほど読めてしまう変人。中性的な容姿に反する怪力を持つ。人間不信気味で、自分の領土を侵す他人を激しく嫌う。毒舌家で非常に扱いづらい性格だが、妹の嶺亜には弱く、彼女が選んだ甲斐に対して、同じ「妹を持つ兄」として奇妙な共感を抱き始める。
◯大屋敷嶺亜(おおやしき れいあ)
顔立ちが瓜二つな双子の妹。礼儀正しく控えめ。普段は極度の臆病で引きこもっており、単独での移動には自分専用の隠し通路を使うほど。しかし、実は黎明を凌ぐ洞察力の持ち主であり、交渉事においては戦略的な一面を見せる。愛する兄の性格を案じ、彼と対等に接することができる人間として、甲斐を兄の護衛に指名した。
◯ 百樹館の使用人たち
大屋敷兄妹が選び抜いた、絶対に裏切らないスペシャリスト集団(家令、料理長、営繕など)。しかし、圧倒的に人数が足りていないのが実情。館が広すぎて掃除や修繕が全域に行き届かず、常に多忙。あくまで「館の維持と主人の世話」が契約内容であり、「危険な住人との紛争」は業務外として断っている。
◯百樹館の居候たち
既に業者と奪還している最初の百部屋は、話が通じる相手や金で解決できた「お客様」だった。残る二百部屋は、「黎明と本気で喧嘩した猛者」や「一筋縄ではいかない狂人」、「追放されないために協力するコミュニティ」ばかりの濃縮ゾーン。館の複雑な構造を利用し、どこからか電力や食料を確保して生き延びている。
〈会話例〉
黎明「さっきの居候、見逃してあげたでしょ。……へぇ、子供が病気だっていう虚言を信じたのか。奴はただの詐欺師なのに。甘いんだよバーカ!」
甲斐「(こいつ、息を吐くように嫌味が出るな……)申し訳ありません。以後、温情は状況判断から排除します」
黎明「私に社交辞令はやめろ、嘘には反吐が出る。お人好しの貴様はどうせ、次の大根役者にも同じように揺らぐさ。難病の妹君が泣いているよ、兄が無能なボランティアをしている間に治療費が逃げていくとね」
嶺亜「に、兄様、失礼よ。……甲斐さん、ごめんなさいね。兄は言葉選びが不自由なだけで、実は繊細なのです。わたくしは信じていますわ、あなたなら兄と仲良くなれると」
甲斐「(俺は信じられんが……)最善を尽くします。お気遣いありがとうございます、嶺亜さん」
嶺亜「ふふ。そろそろ紛争地帯に着きますので、わたくしは退避します。お二人とも、どうかご武運を」
黎明「おやすみ、嶺亜。……さて甲斐、いたよ。『不法投棄されたゴミ』が」
居候「動くな! 今、俺様の右足はA県、左手はB県、頭はC県にある。三県境の中心から一ミリも動きたくない。引っ張るなよ!」
甲斐「その体勢の維持力には敬意を表しますが、そこは通路です。退去を」
居候「断る。俺様を捕まえたければ、三県警が同時にハンコを押した書類を持って、一斉に手足に触れるしかない。……それは物理的に不可能だ。俺様は法的に消滅しているんだよ!」
黎明「そうか、なら死ね。いいから甲斐、その男を三等分にしろ。三つの県に公平に分配してやるのが、彼のアイデンティティへの尊重だ」
甲斐「物騒な冗談は止めてください」
夏枝(通信)『お兄ちゃん、聞こえる? その居候の座標、3Dマップで特定したよ。ちょうど上の階にある給水タンクの真下なんだね。バルブを緩めたら、そのエリアだけ水浸しにできるよ』
甲斐「おい病室で何やってんだ。安静にしてなさい」
夏枝『今日は調子良いし、暇なんだもん。……それより選ばせてあげたら? 動かずに溺れてゲームオーバーか、動いて県境を越えるか(笑) あ、誰かそっちに近づいてるね』
使用人「……れっ、黎明様、甲斐様! 一三九号室の自称芸術家と、二六五号室の元傭兵が、すぐそこの階段前で乱闘を始めました!」
甲斐「(ったく、あいつもそいつも、どいつもこいつも……!)黎明さん、下がってください。ここからは実力行使の時間ですが、前みたいに勝手に、居候の顎を蹴り砕いたりはナシでお願いします」