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友人。
私たちは、ティナリに連れられて、蛍が用のある人、コレイという名の人が居るという建物の前に着いた。
半円アーチ型の出入り口を潜って、蛍、パイモンが部屋の中へと入った。
「よぉ!コレイ!久しぶりだな!元気してたか?」
そんなパイモンの言葉から会話が始まっていた。
--- * ---
3人が部屋の中で話しているその一方、アーチ型の出入り口の外で、私とティナリが対話をしていた。
「#名前#でいいんだよね?君は エルフなんだよね」
「僕は少し恥ずかしながら、エルフのことはあまり知らなくて…少しでもいいから教えくれないかい?」
ティナリという名は、聞いたことがある。相当有名の博識と有名なレンジャー長か何かだった、筈だ。
その人物が知識のことで恥ずかしがるなんてたまげたことだ。謙虚ぶるにも程がある。
私はそんなことを思いながら、ティナリの方を見て口を開いた。
「構わない」
その回答に彼は安堵したかのように溜め息を漏らしながら、少し微笑んだ。
「#名前#、ありがとう」
そして、そう言葉を発した。
私と彼は話し始めた。
直後、ティナリは口を開いて私に向けて話し始めた。
「エルフというのは、最低でも10000歳以上、最長は永遠を生きる生物、耳以外は人間と変わりない、耳の形が独特、という特徴があることは知ってるんだけどね…」
ティナリは、そんな言葉を話した後、どこか照れくさそうに笑った。
全く、それが全てじゃないか。
私は心底呆れていた。人間のこういうところが嫌いだ。謙虚で教えて欲しい、なんて言うくせに、それを聞いてきた人間がそれに対して詳しい。マウントが取りたいだけの醜い生物だ。
謙虚で弱々しい態度、腹立たしい。
「#名前#は何年を生きるエルフなんだい?」
ティナリは耳をこちらに向けながら、真面目に聞いていた。そこまで真面目に聞くべき内容もないだろう、と思ったが、口に出すことではない。
「永遠。一生死ぬことのない体だよ」
私はティナリのそんな質問にそう答えを返した。
「おお、エルフ自体始めた見たけれど、寿命がないエルフだとはね」
ティナリは驚いた表情を浮かべ、その後、私に向けて優しく笑いかけた。
隣に立っていた彼は、私の少し前に歩んだ。彼の後ろに広がる空は黄金色、夕時のはずだが昼かのように太陽は燦々と私たちを照らしている。私と違って、空は広すぎる、空を見上げる度そう思う。
「そっか、寂しくはないの?」
ティナリは、首を傾げてそんな質問をした。私の寿命の事を聞いた皆がそんな質問をする。あの子だってそうだった。
「別に。そこまで」
私は目を合わせて、そう言葉を返した。
そんな私の返事で、私とティナリは話し終わり、蛍たちがその家から出てくるのを待っていた。
「ずっと一人だったのかい?」
黙っていたはずのティナリは唐突に口を開き、口を開かない私に話しかけた。
「…………まぁ」
私は曖昧な返事を返した。
私の事、ましてや私の過去の事を知られるのは拒絶したいも同然だ。
「僕や旅人と出会えたのは、クラクサナリデビ様のご恩かな」
ティナリは、笑いかけて私に対してそう言った。貴方や蛍のことなんて、どうせ忘れてしまうから関係ないのに、と喉元まで出ていたその言葉を抑えた。
--- * ---
数十分後、蛍とパイモンがその家から出てきた。
「#名前#、ティナリ、話は終わった?」
蛍は、出てきたすぐ後、そう私たちに話しかけた。
「うん、終わったよ。まだ居てもいいんだよ」
ティナリは蛍とパイモンに向かって、そんな優しい言葉を投げかけた。
「いいや、大丈夫。疲れさせちゃうと悪いし」
そんな言葉を残し、「じゃあね」なんて言葉を交わし合って、私たちはティナリ、コレイの元から去っていった。