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【ツイステ夢】🐙🐬🦈監
ちょっとキャラ崩壊してるかもしれません。
今、全人類に問いたい。対して意識してない異性にキスを迫られたら——、貴方なら一体どうする?
「さぁ、誰を選ぶのですか?……僕以外を選んだら一生恨みますよ。」
「#ユウ#さん、勿論僕ですよね?信じていますよ。」
「は?何言ってんだよジェイド。ね、子エビちゃん?オレに決まってるよな?あんな奴らにしないよね?」
そう。今私は、三人のエリートイケメンに迫られている所だった。というかこれ脅しだよね?
何故こんなことになってしまったのか?
それは学園の放課後、ほんの数十分前まで遡る。
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どうしていいか分からない。結論から言おう。それもこれも、この“山みたいにでっかい人たち”のせいだ。
「ふふ、こんなに頬を膨らませて。フグになってしまいますよ?」
「あはっ、小エビちゃんかーわいっ。まじでフグみてぇ。ねぇねぇ、もっとオレのこと構えよ〜。」
目の前で揺れるのは、瓜二つの水色の髪。気付けば私は、ジェイド先輩の膝に座らされていて、ついでにフロイド先輩に頬をぐにぐにされていた。
わざとじゃない。これは本気で抵抗してるだけ。こっちの気も知らないで、楽しそうに遊ぶ二人が憎らしい。
物凄く鬱陶しいのに、心臓は勝手に忙しくなるばかり。それをどうにか隠すためにも、精一杯の悪あがきをする。
「いっ、いい加減にして下さい!そ、そもそも、ここはオンボロ寮ですよ?勝手に入って来ないで!不法侵入です!」
そう、ここは私の安息の地であるオンボロ寮。せっかくの放課後、グリムがいない静かな時間を満喫していたのに……どうしてこうなった。
抜け出そうとしても、ジェイド先輩の腕はびくともしない。ていうか、その笑顔は何?圧が強すぎて怖いんだけど。
「おや、気に障ってしまいましたか?……ああでも少しおかしいですね。貴女は僕達を喜んで出迎えてくれていた筈ですが?」
「そーそー。“やったー”つってたじゃん。嘘はよくねぇよ、小エビちゃん?」
「そ、それは!先輩たちが“料理おすそ分けする”って言ったからで……。」
図星を突かれた。二人の瞳に映る自分が、やたらとあたふたしていて妙にむかついた。
何も言い返せなくてじっと睨み返すが、三秒後——二人の口角が不気味につり上がっていった。
「フッ、ほら、そんな顔をしないで。シワがひどすぎますよ。」
「……そ、そんなに酷い顔してました?」
「ええ、とても可愛らしいです。」
くす、と小さく笑う声が落ちてきた。答えになってない、と呆れながらも、隙もなく伸びてくる長細い指を払いのける。
本気で言っていそうなジェイド先輩のその雰囲気に、不覚にも心臓が跳ねてしまった。
「あぁ、真っ赤になってしまって。これじゃあ、僕達にいじめられても仕方がありません。」
また伸びてきた指を、今度はどうしても拒むことができない。長い指先が、頬をゆっくりなぞっていく。私を確かめるように、そっと、優しく。
「じ、ジェイドせんぱ……、」
声が震えた。
未だ鳴り続ける鼓動に、自分の声まで掻き消されそう。
葛藤が頭の中でぐるぐる廻ってる。瞼を閉じて、せめてもの抵抗を試みた——その瞬間、横からぐいっと肩を引かれた。その衝撃で、身体がふわりと浮く。
気付けば、柔らかい何かの上に倒れ込んでいた。視線を上げるとすぐに、フロイド先輩の無邪気な笑顔が飛び込んでくる。
……予想、ドンピシャ。
「ねぇ小エビちゃん、今からオレ達に好きにされないと料理あげねぇよ?とびきり美味いやつなのに、もったいなくね?……だから、覚悟してね?あはっ。」
……何を覚悟しろと?
フロイド先輩の指が伸びてくる。また顔をぐにぐにされる……と思いきや、するりと下に滑って、鎖骨のあたりをなぞった。
嫌な筈なのに、身体は勝手にびくんと跳ねてしまう。指先から伝わる温かな感触が、私の鼓動を加速させた。
「あ〜あ、反応しちゃってさぁ。子エビちゃん、かーわい❤︎」
こちらを見上げて、先輩は舌をぺろりとさせた。危ない雰囲気を感じ取って、背中に冷たい汗が流れた。
近すぎる距離、どこにも逃げ場のない空気。心臓が耳の奥で鳴る。
視線を逸らすのは許さないとでもいうように、フロイド先輩は大きな手で、私の顎をぐいと掴んだ。
「よっし、決まりね〜!やったぁ、なぁにしよっかな〜♪」
「うふふ、決まりですね。ああ、料理についてはきちんと差し上げますので、ご安心を。……ただし終わってから、ですが。」
ジェイド先輩にも顔を覗き込まれた。さっきから私の気をおかしくさせる出来事ばかりだった。でも、甘い雰囲気に当てられて聞き逃してはいない。…… “終わってから”?
忙しく表情が変わるのが自分でも分かる。ふいに真上から、ころころと楽しそうな笑い声がした。
「あは、あははははっ、小エビちゃん何その顔、おもしろ!」
「フロイド、#ユウ#さんが困っているでしょう。ああ、それよりいい加減に#ユウ#さんを返してくれませんか?僕から奪った癖に、貴方ばかりずるいですよ?」
「あ?やだよ。何?なんか文句あんの。じゃあお前があっちいけよ。」
「うふふ……お断りです。#ユウ#さん?たかがフロイドの膝なんかに乗っていないで、僕の下へ来て下さい。ほら、ここに貴女の好物がありますよ?」
他人事のように、私はこの光景を眺めていた。こっちに話題が回ってきても無視を決め込む。だから、フロイド先輩が動いたことにも気付かなかった。
「小エビちゃ〜ん、ギュ〜〜〜❤︎」
いきなりフロイド先輩に、後ろから強く体を絞められた。
「うぐぐ、」
何もできなくて、ただ天井のシミを眺める。けど、なんとか喉の奥から声を絞り出した。
「ぐ、ふ、フロイドせんぱ、あのっ、く、るしいです……っ。」
「ん?こんなのただギュッてしてるだけじゃん。何が苦しいの?……てかさ、変なとこ見てないでオレのこと見ろよ、ね?小エビちゃんのかーいい目には、オレだけ映ってて欲しいの。」
ごめんなさいフロイド先輩、息が苦しくて話が耳に入ってきません。
せっかく私が声を絞り上げて伝えたのに……ああ。絞めながら話してるし。
「……はあ、フロ———、」
「ジェイド、フロイド!何をやってるんです!」
ジェイド先輩が何か言いかけたその時、被せるように怒号が部屋の中に響き渡った。ほんの少しだけ、絞め付けてくる力が緩む。
そうしたら安心の為に息が漏れて、思わず力が抜けてしまう。フロイド先輩にもたれかかる構図になってしまった。
「やはりここにい、た……?え?」
振り返った先には、驚いた様な顔のまま静止するアズール先輩の姿があった。
「アズール先輩じゃないですか。こんにちわ〜。」
「すみません#ユウ#さん失礼しました!」
挨拶をしたらすぐにバタン!と勢いよく扉を閉めて姿を消してしまった。
何をしたら正解なのか良くわからなくて視線を上げる。でもーフロイド先輩は嬉しそうに、にこっと口角を上げるだけ。
そろりそろりと更に視線を動かせば、作ったような笑顔を張り付けるジェイド先輩と目が合った。堪らずぱっと下を向く。
何だろう、おかしな間だ。段々気まずくなってきた。
「……失礼。」
おかしな空気を破った本日二回目のその言葉。先程とは意味の違うそれに、心底ほっとする。
見慣れた顔が再び、でも恐る恐るというように現れる。それに伴うように私の意識が段々覚醒してきた。そしてある言葉が天から降ってくる。
助けてもらわなければ!
「アズール先輩!」
「ななな何でしょうか!」
「助けて下さい!」
「何をです!?」
「見たら分かるでしょ!この困ったウツボ二人からですよ!」
アズール先輩ってこんなに物分かり悪かったっけ?今は一刻を争う事態なんだ。急いでもらわないと困る。
なんて失礼で無責任なことを考えていたバチが当たったのか、それともそろそろ我慢の限界なのか。再びフロイド先輩が、私にウツボのごとく絡みついて強く締め付けてきた。更に更に、頭の上にゆっくり、優しく何かが載った。……ジェイド先輩の手の平?
「アズールぅ……?邪魔したらどーなるか、分かってるよねぇ?」
「アズール、その件につきましては後日お詫びをするので、ここはどうか辛抱を。ですので……、横入りは程々に、ね?」
二人の声も目も、微塵も笑ってない。顔に「あっちいけ」とでも書いてあるようだ。おまけに頭の上の手の平が、私を掴んで離さない。
可哀想なアズール先輩。様子をチラッと伺えば、あれ?眼鏡にヒビが入ったような気がするけど、流石に気のせい?
……どうして私は今他人事なんだろう。二人の色の違う双眸が、私に向かって妖しくキラリと光った。次第に事態を飲み込んでいく。
二人の視線が甘く、それでいてねばっこくまとわりついてくる。
「…あ、やっぱり駄目なやつだこれ。」
「子エビちゃ、」「#ユウ#さん、」
「止まりなさいお前達!」
その怒号でピタッと動きが止まった。私を離す気はさらさらないらしいけど、エスカレートするよりずっとましだ。
先程からだけど、らしくもなく取り乱しているアズール先輩。肩は上下していて、膝は若干震えている。どうやらお疲れのご様子だ。
「……なぁに、何なのアズール?今すぐ絞められたいワケ?」
「おやおや、分かっているでしょう、アズール。」
二人の表情と声色が変わる。いつもニコニコしてて腹の底が読めない二人の表情が抜け落ちていて、私は得体の知れない気持ち悪さを感じた。後退りもできない。
その時聞こえた言葉。
「ジェイド、フロイド。お前達だけ#ユウ#さんを独り占めしていてはその、ずるいじゃないですか……。」
「は?」
返事をしたのは、他でもない私だった。
え、まさか、アズール先輩まで私を玩具にするの?そんなキャラだっけ!?
私はこの二人、もとい三人に捕まった哀れな奴隷なのか?なんだかこの部屋が監獄に見えてきて、私はフロイド先輩の腕の中で縮こまった。まるで狙われた獲物だ。
「ん〜、まぁいーよ?あは、今そういう気分なった。」
ふいに、フロイド先輩が私を離した。驚く間もなくまたもや横にぐいと引っ張られる。目の前に、とても嬉しそうなジェイド先輩が現れた。
すぐにとろけちゃうような、甘い声で囁かれる。
「ふふ、やっと手に入りました。」
「あ、待ちなさい!」
……かと思ったら、二の腕を掴まれてぐいぐいされる。
あれ、私の気持ちは?
ジェイド先輩とアズール先輩に挟まれて、引っ張り合いの勝手な睨み合い。「お前だけずるい」だの「しつこいですよ」だの。
アズール先輩に助けてもらう予定だったのに、想定外なことに敵になってしまった。
いやでも、私もただやられるだけじゃない。そう、奴隷じゃないから!
「ストップ!ストーップ!いつの間にか話がえらいことになってるんですけど!?」
「は?」
「ん?」
「はい?」
私が怒りの声を上げても、三人の動きは止まるばかりかどんどんエスカレートしていく。ほったらかされていたフロイド先輩も、いつの間にか私の髪の毛を弄んでいた。
良い加減に、視界にイケメンしか映ってなくて気でも狂いそう。
もう一々ドキドキしてる余裕もなかった。
「いやいやだって、何もここまで———、」
「でしたら、選んで下さい。」
「……え?」
食い気味に、私の文句を遮られた。
意味が分からなくて、咄嗟に聞き返すことしかできない。ちょっと苛立ったのか知らないけど、少し乱暴に声の主の方へと顔を向けさせられた。
アズール先輩の瞳は、このまま呑み込まれてしまいそうなぐらいに深くて危険に輝いていて、そして真剣だった。
「どういうこと、って顔してますね。」
「え、はい。」
「……僕達三人の内一人とキスをするなら、大人しく止めて差し上げましょう。ただし、断るなら朝までこうですからね。ジェイド、フロイド?」
「僕は構いませんよ?」
「あはっ、何それ面白そ〜。」
「と、いうことで。」
じり、じり。
ただでさえ近かったのに、三人の綺麗な顔が更に近付いてくる。
その相手が私じゃければ良かろうに、それが何故か私。どうしてこうなった?
…と、今この状態なのである。
考えることを辞めてはいけないと頭では分かっていても、精神的に思考停止していた。こんなこと、考えたくもない。
好きでもない男とキスしなきゃいけないとか!!
かろうじて残っていた理性で、私は恐る恐る、確認するように問いかける。
「その、断るという選択肢は……。」
「無いですね。」
笑顔のジェイド先輩に即答された。いや勿論分かっていたとも。
仕方がないから悶々と悩む。ああ、部屋の家具に嗤われているような気がする。
三人の中で一番ましなのは、う〜ん、一番常識があるアズール先輩とか。いやでもな。
悩んでいる間。何故か突然、耳に吐息がかかる。
「子エビちゃん決めんの遅くね?オレ気ぃ短けーからぁ、早くしないとやらしいことしちゃうかも?こんな風に❤︎」
れろぉ❤︎
「ひぁっ、」
フロイド先輩に、左の耳を味わう様に舐められた。
せっかく考えていたのに、考えていたことがこの爆弾発言と問題行動て全部吹き飛んだ。顔は真っ赤で、初めて異性にそういうことをされた衝撃と羞恥で変な声が出てしまったこと。そろそろ視界が滲んできたこと。
そして私は、口を滑らせてしまった。
「う、私にはとても、えらべません……っ。」
反射的に嗚咽が漏れてしまったその瞬間に、もう既に唇を奪われた。ひっ捕えた獲物に喰らいつくように、食べるように。最初からとても深くてやらしくて、私はとても耐えられなかった。どっちのものかも分からない液体が、口から溢れ出てどこかへ消えていく。
息が苦しくなってきた所で、唇同士が少しだけ離れる。
「……それは、#ユウ#さんを僕の好きにしていいということでしょうか?」
やっぱりジェイド先輩。普段私が知ってる先輩とは全然違う表情で、焦ったような、熱に浮かされたような、どこか懇願してるような色がある。
……ちゃんと男だった。分かってた筈なのに、今一度再確認して、そして何故かほんの少しだけドキドキしてる自分がいる。
「#ユウ#さん、僕は貴女が好きです。」
腰が抜けて、なんだかふわふわして。このキスが初めてだということも忘れてしまって、私は三人に身を委ねてしまった。これからされることも、なんとなくだけど分かっていた筈なのにも関わらず。
この後、この軽率な行為を悔やんで悔やんで悔やみまくることになることを、私はまだ予想できないでいた。