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第二話 梅雨
珍しく雨が降っていた。
ここ最近、梅雨なのに雨が降らないという異常気象だったのだ。
不機嫌な顔してベンチに座っている優里の目の前にアイスが差し出された。
「おい、少年。食うか?」
そこには武器を担いだ、栗色の髪の女性・鷹原 舞が立っていた。
「舞さん…。」
落ち込んだ顔をしている少年に気を利かせてくれたのだろう。
「いただきます。」
優里はアイスを受け取った。
彼の座っていたベンチに舞は腰をかける。
しばらくの沈黙の後。
最初に口を開いたのは優里だった。
「なんで、なんで助けたんですか。」
いつか聞かれると思ってたが、舞はまだその答えを決めていなかった。
「…。良さげな人材は集めなきゃならないからな。」
人情のカケラもない答えに優里は散々だ。と思った。
防空壕に誰もいなかった時。
優里は仲間がさらわらたと。
そして、敵国の軍服を着ていた人々を次々に殺していったのだ。
それを聞いた舞達、敵国が優里を保護
「…っ」
悲痛な声を放つ少年を舞は優しく撫でた。
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街角で叫ぶ誰かの声。
("皆さんも名誉ある兵士になるんだ"か。
そんなに言うなら自分も行けばいいのに。)
冷たい視線で眺めるのすらやめ、ベンチに座り込む。
(にしても、暑いな)
こんな時期にはあの時のことを思い出す。
彼の名は狸緒。亜麻色の髪にオレンジ色の目をしてる彼は、優里と同じようにあの仕事を始めた。
(あーあ。暇だなあ)
「おい、食べるか?」
目の前にアイスが差し出される。
「ゴリゴリちゃん…」
彼はアイスの名前を思い出すように言った。
「隣、座るぞ。」
年齢こそ違うが狸緒が「優里兄ちゃん、優里兄ちゃん」としたっていたので2人の仲は良かった。
あの頃の自分より年下なのに、自分のように泣き出したりしない狸緒の頭を優里はかわいそうにも思えた。
第二話 終