見いつけた

いつも通り"かくれんぼ"を始める。 --- もういいかい --- "鬼"は、心構えを確認する。 --- もういいよ --- 準備が整ったみたいだ。 さぁ、"かくれんぼ"の始まりだよ。 --- 「見いつけた」 --- --- 今日は、太陽が照っていてとても暑い。 学校が終わった。 学校では、図工の授業で太陽を描いた。 みんな個性豊かで顔を書いている人も、オレンジ色にしている人も、色々いた。 それで僕は何色にしたかって？ 赤色だよ。真っ赤な太陽にした。 まわりに人もかいたけど、太陽が真っ赤だから人も真っ赤にしたんだ。 絵をかくのは楽しいなぁ。 僕は見慣れた道を通って広い公園へ行く。 もうみんな集まっていた。 いつものメンバーだ。 毎回一人減って、一人増えるんだ。 僕は新しい一人に声をかけられた。 新太「新太っていうんだ。よろしくね、黒闇くん。」 その一人は｜新太《あらた》という名前らしい。 ｜黒闇 仁針《くろやみ にばり》は僕の名前だ。 仁針「こんにちは。今日から君も"かくれんぼ"のメンバーの一人だよ」 そう、ここでは毎日"かくれんぼ"をするのだ。 この遊びを提案したのは僕だ。 "鬼"も僕。 僕は新しい一人にルールを教える。 仁針「この"かくれんぼ"はほとんど普通のルールと同じだよ。違うところを言うね。毎回僕が鬼なこと。毎日、放課後ここへくること。見つけるのは一人で見つかった人は参加できなくなる。一生…ね。」 新太「えっ、一人しか見つけないんだ。簡単じゃね…?」 この新人はうすうす気づいていたみたいだ。まわりの参加者に怯えている人がいること、絶望に満ちた顔をしている人がいることを。 だから、この簡単そうなルールをきき驚いたのだろう。 仁針「そうだね。生き残ればいい。それだけだよ。 そろそろ始める。みな、心構えを。」 この時、毎回一瞬空気がぴりつく気がする。そらそうだろう。命を懸けているのだから。無理もない。では僕も準備をしようか。今日は誰が脱落するかな？ "かくれんぼ" スタート 今まで何回も何百回もこのゲームをやっているのだから新人以外はプロ級だ。だから犠牲者は新人が多い。 下手だからな。僕のえさとなるのだ。 あっ、ほらそこに見える。 隠れないで、でておいでよ。 みんなに見られたままもいいものだよ。 ねっ 新太くん。 ばんっ …この音は聞きなれた。 他の参加者もこの音を聴いて安心したみたいだ。 あぁ、何てきれいなんだろう。 今日描いた絵そっくりじゃあないか！ 美しい！ 太陽みたいな赤い滝のように流れる液体がぽたぽたと音をたてながら落ちていく。 はぁ、今日も満足だ。 __美味しいなぁ 君はもう僕のからだの一部だ。 見つかるはずもない。 今日のゲームはこれでおしまいだよ。 ね？簡単だったでしょ？新太くん♡ 次は君の番だよ。 --- 「見いつけた」 ---