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友達作り⑬全部、全部、最初から
星
「分かるか。俺の言っていることが」「……分かってる、分かってるよ……! でも、分かりたくないっ……!」あまりの衝撃に、奈々は叫ぶように返した。せっかく今の佐藤くんと少しずつ話せるようになってきたのに、過去のいじめの話や、そんな前から自分を想ってくれていたという事実に、頭も心も追いつかない。「その気持ちはわかる。いきなりこんなことを言われて、まともに話なんてできないだろう。それは分かっている。分かっているんだが……!」佐藤くんは「どうすればいいんだ!?」という顔で、悔しそうに顔をしかめた。彼だって、奈々を困らせたくて話したわけじゃない。張り裂けそうな胸の内が伝わってきて、胸が痛む。そのときだった。友達なんてできない、そう頑なに思い込んでいた奈々の心の壁に、ピキリと小さなひびが入った。今まで出会った人たちの言葉、彼がくれた不器用な言葉が、奈々の頭の中を激しく駆け巡る。『ねぇ、また今度、プレゼント交換しない?』『あのグループに近づくなよ』『私、奈々ちゃんと友達になれてうれしいよ!』『俺、上靴を隠されたことがあるんだ』『何これっ! かわいいっ! プレゼント交換って楽しいねっ!』『好き』『奈々ちゃん』『奈々』溢れ出す大切な記憶の数々が、冷え切っていた奈々の心を一気に温めていく。「そっか……。なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだろう」「奈々? なんだ?」ぽつりと呟いた奈々を、佐藤くんが不安そうに見つめる。奈々は涙を拭い、まっすぐに彼を見つめて力強く言った。「私たち、最初からやり直せばいいんだよ!」「最初……から……?」「うん。最初から。全部、全部、最初から。最初からやり直して、いつも通り過ごすんだ。もう人見知りにならなくていい。いじめられなくていい」過去の傷も、すれ違いも、ぎこちなかった一週間も。全部を抱えたまま、今日という日を「新しいスタートライン」にすればいい。「確かに……!」佐藤くんは「そうか……」と呟いて、奈々の方を見た。「……!」その顔を見た瞬間、奈々は息をのんだ。そこにいたのは、今まで奈々が見たことのない、心からの笑顔で、まぶしいくらいにキラキラした顔をした佐藤くんだった。その表情があまりにも素敵で、奈々は愛おしそうに微笑みながら、佐藤くんへと言葉を紡いだ。「これからも、よろしくお願いします」奈々は、佐藤くんに向けてそっと右手を差し出した。「あぁ、よろしく」佐藤くんも、弾んだ声で喜びながら、奈々の手をしっかりと握り返す。繋いだ手の温もりから、確かな一歩が始まる。これから二人で切り開くんだ。私たちの、新しい未来を。