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#02
本編うぇい。ごー。
IRIS防衛学園の地下にある第3訓練場。
そこは、地上とは打って変わって、冷たい鉄の匂いと火薬の残香が漂う空間だった。
今日の授業は「対人近接戦闘」。ペアを組み、模擬ナイフを使って互いの急所を狙い合う、この学園では日常的な光景だ。
(……目立ちすぎてはいけない。でも、無能すぎても怪しまれる)
僕は、首の後ろのチップが発する微かな熱を感じながら、模擬ナイフを握った。
僕の体には、母国で叩き込まれた「効率的に人を殺すための動き」が染み付いている。それを必死に抑え込み、わざと重心を崩し、素人のような危うい足取りを演じる。
黄.彡「おい、まろ。そのほとけって奴、ちゃんと動けてんのか?」
悠佑さんが、重厚なプロテクターを鳴らしながら声をかけてきた。
青.彡「……全然や、アニキ。見ての通り、腰が引けとる」
いふくんが、ぶっきらぼうに答える。
その隣では、初兎さんがタブレットを操作し、生徒たちの心拍数や動きをデータ化していた。
白.彡「ほとけくん、そんなに緊張しなくても大丈夫やで。心拍数が上がると、動きが鈍くなるから。」
初兎さんが、画面から目を離さずに淡々と告げる。その冷静な分析に、僕の背中に冷や汗が流れた。
水.彡「あ……すみません、初兎さん。……頑張ります、いふくん」
僕がそう呼ぶと、いふくんは一瞬だけナイフを握る手を止め、顔を赤くしてそっぽを向いた。
青.彡「……っ、その呼び方やめろ! ……チッ、ええわ。ほとけ、ぼーっとすんな。怪我したくなければ、もっと前見ろ」
いふくんが、鋭い踏み込みでナイフを突き出す。
180センチの長身から放たれる一撃。だが、その足元がわずかに訓練場の瓦礫に躓き、一瞬だけ体勢が大きく崩れた。
青.彡「……あ」
隙だらけの姿。僕の脳内では、チップを通じて瞬時に「制圧ルート」が計算される。
『隙を突け。対象の急所にナイフを当て、実力を誇示せずに優位に立て』
母国の冷徹な命令に従い、僕は無意識に一歩踏み出した。奴隷スパイとしての、音も立てない鋭い踏み込み。だが、ナイフがいふくんの喉元に届く直前、彼は無理やりその動きを止めた。
水.彡「……わっ!」
わざとらしく転んで見せ、床に膝をつき、肩で息をする。
青.彡「……大丈夫か、ほとけ」
いふくんが慌てて駆け寄り、僕の手を掴んだ。大きな、熱い手。
水.彡「……ごめんなさい、いふくん。僕、やっぱりこういうの、苦手で……」
青.彡「……ふん。まぁええわ。ほら、立て。……お前、手が冷たすぎるねん」
いふくんは文句を言いながらも、僕の手を引いて立たせてくれた。その様子を、少し離れた場所からりうらさんがじっと見つめていた。
赤.彡「……ねぇ、今の動き。俺、見逃さなかったよ」
りうらさんが、ナイフを指先で弄びながら歩み寄ってくる。
赤.彡「ほとけくんさ。転ぶ直前、一瞬だけ凄く綺麗な重心移動したよね。……俺、そういうの興味あるんだ」
りうらさんの鋭い瞳。首の後ろのチップが、警告のように激しく脈打った。
水.彡「……気のせいですよ、りうらさん。僕、必死だったから……」
赤.彡「ふーん。ならいいけど」
りうらさんは不敵に笑うと、そのまま背を向けて去っていった。
いふくんの不器用な優しさと、りうらの鋭い観察眼。偽りの日常が、少しずつ、けれど確実に僕の首を絞め始めていた。
2話だぁぁぁあ…()
今のところ順調…毎日投稿頑張るね…()