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一人にしないで。
私なんて、どうせいらない子なんだよ。
生まれた瞬間から死んだ後まで。
わたしなんかに好きな人なんて、好きになってくれる人なんているわけない。
私が冷たい床で寝ていると、足元に重いものがのしかかってきた。
ミシミシミシミシ。
私は足が痛くなる。まるで足が折れ……いや、切断されたかのように。
とんでもない激痛が私を襲う。
「邪魔」
母親だった。
私は母親に踏まれた。
あぁ、通りで……。
骨が折れたかもしれない。これで一か月は歩けないかな。
こんなことにももう慣れた。
母親は毎日、寝ては食って、寝ては食っての繰り返しで太っていくばかり。父親はなんか仕事で帰って来ないし。
ほんと、父親は、再婚する相手を間違えたみたいだ。こんなデブで私を機械のように扱うこんな女、母親じゃない。
本当の母親は、もっと――。
「ねぇ、飯はまだ?」
……は? 足踏んでおいて何様のつもり?
私、動けないんですけど。|貴方《あなた》の|所為《せい》で。
再婚してから一年が経とうとしている。毎日こんな調子じゃ、私が死んでしまう。
まだこんなのが続くの? もう、うんざりだよ。
なんでこんな母親と再婚したの?
神様、なんで私は愛されないの。
「……しょうがない。外で食うか。待ってろよ」
あぁ。たぶん、深夜まで帰ってこないだろう。デブ専のホストにでも通ってんのかな。そして、私は動けないからご飯が作れない。
空腹の印にお腹が鳴る。
何か食べたい……。
そう思った瞬間――。
「「 お邪魔します!! すぐ出ますから、家に入れてください!! 」」
一人の元気の良い、いかにも親に愛されていそうな少年が家に入ってきた。
なぜか。
「……ってあれ? 誰もいないのか?」
いいえ、ここに私がいます。ちょうど足を骨折して動けません。立とうとすると足に激痛が走るので無理です。
足音がこちらに近づいてくるのがわかる。
「うわ!」
彼は私を見つけたようだ。
「だだだ、大丈夫!?」
心配してくれている、の?
しばらく外に出ていない所為で顔色が悪く、話していない所為で声が出ない。
「話せ、ないの?」
私はただ頷くことしかできなかった。
この人は、母親と違って、私を人間としてみてくれている。本当の母親は、こうなのかな……? もう、顔も声もどんな人だったのかも忘れちゃったよ。
「立てる?」
そう言って彼は私の手を持って起き上がらせてくれた。不思議と、折れた足は痛まなかった。
こんな風にやさしくされたのっていつぶりだっけ。
忘れかけていたやさしさに、なぜか涙が出てくる。
「あ……ありが……と、う」
私はかすれながらも『ありがとう』を口にする。
「っ! ……どういたしましてっ」
そう彼は言うと眩しい笑顔を見せつけた。まるで住む世界が私とは違う。明るい世界。
いつか私も行ってみたいな。その世界に。
---
彼は、私を背負って病院に向かった。
医者に診てもらうと、私の両足は骨折していて、全治するには二ヶ月ほどかかるらしい。私は入院することとなった。
ついでに、私が私を診てみると、謎の病気が見つかった。
私は、彼の笑顔を見ると、胸が熱くなるという、一生治りそうもない病気にかかってしまったみたい。
胸がきゅんと締め付けられるような、なんとも不思議な気分になる。
彼の名は、|青松春太《あおまつしゅんた》と言うそうだ。あだ名は、彼のイニシャルを取ってアオハル。
私は、ついそんなことを言ってしまったことを思い出した。毎日彼が見舞いに来てくれるから、あだ名をつけてみたのに、私のほうが恥ずかしくなってしまった。
アオハルだなんて、私にはとっても遠いことのように思えた。
私に恋愛なんて百年早いと思っていた。
---
彼と出会ってから一年が過ぎた。
春太は「君の家の環境は最悪だ」とか言って、私は彼の家に住まわせてもらえることになった。
春太の母親も、なんか「私に娘ができたみたいで嬉しいわ!」みたいなことを言っていたし。まぁ、いいんじゃねって思う。
この家は、私を必要としてくれている。毎日母親の分までご飯を作らなくてもいいし足を踏まれたりも、髪の毛を引っ張られたりもしない。
この環境が、『当たり前』だったんだ。
私が、部屋で一人SNSを見ていた時、春太が部屋に入ってきた。
「あの、伝えたいことがあってね」
「……何? 伝えたいことって」
私は、ずっと春太と話す練習をしたから、なめらかに話すことができるようになった。
「あのね、ぼく、君のことが、好きでした! よっ良ければ、僕と付き合って、もらえ……ません、か?」
いつもは元気はつらつとしている彼だけど、恥ずかしいのか、最後のほうは、ほとんど聞き取れないほどに声のボリュームが小さくなっていった。
「……っ!」
私の答えはもちろん、
--- 「いいよ」 ---
だ。
ああああ。
きゅんとしましたか?
できなかった人は、もう一回読んで、きゅんとチャレンジしてください。
皆さんは、僕にどのような小説を求めているのでしょう?
意見がある人は、《りくえすと!》をつけて、コメント? ファンレター送ってください(コメこなかったらどうしよ)
これからも、いろいろ頑張らないとなー。
なんか、最後の部分、急じゃなかったですか?大丈夫でした?変じゃなかったですか?「あとで読み返すと変だ!」って思うときって、ありますよね~(;´・ω・)ハハハ……