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    第二話
    
    
        これ、一番書きやすいわ…()
    
    
    「はーい、おはようございまーす」
 先生が入って来た。普通の女の先生である。
「さて、今日は転校生がいます。藍さん、自己紹介お願いしますね」
「は、はい…」
 自分で自己紹介させる意味なんて無いだろうが、と思いつつ私は名前がでかでかと書かれた黒板の前に出た。
「えーっと、|星影 藍《ほしかげ あい》です。好きなのは〜…」
 ぐるりと周囲を見回す。明らかに本人たちが並んでいる前で、いや並んでいなくても「おどみんとめめ村さんが好きです」などと言うのは気が引ける。
「…読書です。よろしくお願いします」
 と言う事で、当たり障りのないものにしておいた。さっさと席に戻ると、響華さんが手を挙げて言った。
「せんせーい、皆も自己紹介した方が良いと思いまーす!」
 すると、周りからそうだそうだ、と声が上がり始めた。だが、先生がそれを適当に流したことで話は終わった。いつもそんな感じなんだろうな、と分かる対応の仕方である。
「それは各自でして下さい。では〜…」
 他の細々とした連絡事項を終え、数分の準備時間の後に授業だ。
 …なんだろう、全く落ち着かないんですけど。
 そわそわしている私を見たのか、初対面の二人組が声を掛けた。
「藍さん、初めまして〜。…そんな緊張しなくても大丈夫ですよ?」
 私の顔を見て不安げにそう言ったのは、ななっし〜さんとしぇいどさん…っぽい人だ。
「あ、初めまして…。えーっと、お名前は…」
「|白瀬 奈々《しらせ なな》です」
「|草野 咲《くさの さく》と申します」
「奈々さんと咲さん、よろしくお願いします…!」
 …ななっし〜さんが奈々さん、しぇいどさんが咲さん。よし、覚えた。
 席が近かったので、この二人には今後もお世話になると思う。冗談でも「ななっし〜さん」とか「しぇいどさん」などとは呼べない。
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 一時間目が終わった。これから10分休憩だ。一年一組に向かってギリギリ歩いているように見える早歩きで向かう。
「こんにちは〜、藍さん」
「あ、こんにちは…」
 めめんともりさんらしき人が向こう側から歩いて来た。
「えと、何で私の名前を…?」
「あぁ、二年生に友達居るんですよね。私、|霊戸 芽々《れいと めめ》と言います」
 めめんともりさん、いや芽々さんは生徒会長やってます、と微笑み名乗った。
「生徒会長、よろしくお願いします…」
 芽々さんは歩き去って行ったが、一年一組に行って玲と話して戻ってくる時間はない。私はとぼとぼと教室に戻った。