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心音(こころね)は、君だけに甘く響く③
赤都 乃愛羽
第3話:消えたメロディと、隠された真実
手術は成功した。
ちぐの胸の中では、新しい鼓動が力強く時を刻んでいる。
けれど、あの日を境に、すとぷりからるぅとの姿は消えていた。
「るぅとくん、まだ海外でお仕事なの……?」
元気になったちぐが首を傾げるたび、ななもり。くんは無理に作った笑顔で「忙しいみたいだよ」と答える。莉犬くんは目を逸らし、さとみくんは拳をぎゅっと握りしめる。
メンバー全員、知ってしまったのだ。ちぐを救ったドナーが、誰だったのかを。
そして、るぅとくんが遺した「ちぐには一生、秘密にしておいてください」という最後のお願いを、守り続けていた。
「ちぐ、今日はジェルくんと遊びに行こうか? るぅとの分まで、俺たちがちぐを甘やかしてあげるからな」
ジェルくんが優しく抱き寄せ、ころんくんが後ろから「……そうだよ、僕たちがついてる」と囁く。
彼らの寵愛は、以前よりもずっと深く、どこか必死だった。
まるで、るぅとくんの分まで君を愛し抜こうと誓ったかのように。
しかし、ある日。
ちぐは、るぅとくんの部屋の片付けをしていた時、一通の未完成の楽譜を見つけてしまう。
そこには、るぅとくんの筆跡でこう記されていた。
『この曲が完成する頃、僕の心臓は君の中で歌っているはずです。ちぐ、僕が愛した世界を、僕の鼓動と一緒に生きてください。』
「……え? これ、どういう意味……?」
その瞬間、ちぐの胸が——るぅとの心臓が、今までになく激しく、熱く波打った。
まるで、愛しい人の名前を呼ぶかのように。