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あまえた
胴
雷鉢、竹鉢前提の鉢屋の猫化。
※書きたいとこだけ。急に始まり終わる。
「らいぞ、らい、ぞぉ」
三郎の甘い声が、ひっそりと静まり返った部屋に響く。
三郎の腕は、雷蔵の首にしっかり回され、すり寄るように顔を近づけている。普段は決して見せない甘えた仕草に、雷蔵は面食らった。
「どうしたの、三郎」
雷蔵が問うても、三郎は何も答えない。ただ、すりすりと頬擦りをするだけだ。
猫のような仕草に、思わず雷蔵はくすりと笑う。
「今日は甘えんぼさんだね…」
そう言って頭を撫でると、三郎は嬉しそうに目を細めた。その反応がまた可愛らしく思えて、つい手が止まらない。すると、三郎はもっと撫でてとばかりに頭を擦り寄せてきた。
普段は見られないような姿に、雷蔵の頬が緩む。しかし、三郎の腰がぴくぴくと震え、甘えるように雷蔵の足に擦り付けられると、雷蔵は少し冷静さを取り戻し、ふわりと三郎を抱き上げて膝から下ろした。そして、優しくその髪をかき混ぜる。
けれど、三郎は雷蔵に抱きついたまま離れようとしない。雷蔵の胸板に頭をぐりぐり押し付けて、すり寄ってくる。そんな彼の様子を見ていると、何だかこちらまで熱くなってくるようだった。
「あ、なあ雷蔵! ……っと、これはまた……すごいことになってんな?」
襖を開けて現れたのは八左ヱ門だった。彼は部屋に入るなり、床に座る雷蔵の膝に乗ろうとしている三郎を見て、目を丸くする。頭頂部から飛び出した黒い猫耳、背後にはしなやかな同色の尻尾。まさしく完璧な猫化状態だ。
「あぁ、ハチ。見てよこれ。さっき伊作先輩の新
作薬を派手に引っ被っちゃってね。その結果がコレらしいんだ」
雷蔵は困ったように眉を下げつつも、口元には隠しきれない笑みが浮かんでいる。三郎はといえば、八左ヱ門の声に一瞬ピクリと耳を動かしたものの、すぐに雷蔵の首筋に顔を埋めてしまっている。すりすりと甘える仕草は止まらない。
「へぇー、伊作先輩の新作ねぇ……今度はどんな効果なんだ?」
八左ヱ門は好奇心を隠さず、雷蔵たちの傍らにどかりと腰を下ろす。
「どうやら猫みたいな性格になる薬……みたいな話だったけど、ここまで見た目まで変わるとは思わなかったなぁ」
雷蔵が苦笑しながら言うと、三郎がムッと不機嫌そうな声を漏らした。
「らぁいぞ、ちがう……」
「ん?」
「私は……猫じゃないぞ……」
言いながらも、そのしっぽはゆっくりと左右に揺れている。説得力がないことこの上ない。
「おーい、三郎。大丈夫か?」
八左ヱ門が心配そうに覗き込むと、三郎はちらりと視線を上げたが、すぐにプイと横を向いてしまう。だが、雷蔵から離れることはせず、むしろより強くしがみつく力を強めた。まるで親鳥を慕う雛鳥のように。
「ふぅん……随分と甘えん坊になっちまったなぁ。いつもこんな風だったら、こっちも気が楽なのに」
八左ヱ門が冗談めかして言うと、三郎はまたしても「違う!」というように尻尾を勢いよく振った。
本当に変な所から始まり急に終わっている。
書き直そうにも猫化を書きたい欲が収まった頃に発見したので供養。