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人間が妖精族と子作りする方法・1
性的な意味で、エースがとてもひどい目にあいます。どのような目にあうかは、書いているときの作者の気分次第なので、詳しい注意書きはありません。
とりあえず肉体的な損傷は絶対にありませんので、痛い系が苦手な方は安心してください。
「知ってしまえば、もう後戻りはできないぞ。それでもいいのか?」
ひとりがけのソファに座りながら見上げているマレウスに向かって、エースは正面に立ったままうなずく。
「うん。オレ、マレウス先輩との子ども産みたい」
マレウスは「そうか」と言った。真顔の裏では何を考えているのか、エースには読めなかった。
もしあまり良く思われていないのであれば、ここから先は苦労するかもしれない。苦労は嫌いだ。叶うのなら楽がしたい。だが、その楽が約束されていなくても、エースは身を引きたくなかった。
マレウスを人生最後の恋人にすると決めている。だからどうしても、マレウスとの子どもが欲しい。自分が寿命で死んだあとも、マレウスと結ばれた証を残したい。
その一心で、こうして城内の王子の私室で、エースはマレウスと向かい合って、子どもを作る方法を聞いている。
エースの要望を正面から聞いたマレウスは、真顔のまま口を開く。
「本当に、いいんだな」
ずいぶんと念を押す。さすがに尻込みしそうになるが、子どもを残すためならと、勇気を出して「はい」と言いきった。
マレウスは問いかけた声と同じトーンで続きを言う。
「では服を脱げ」
「え、今から?」
「そうだ」
「……ここで、立ったまま?」
「そうだ」
「なんか……ムードとか……」
マレウスの眉間にシワが寄る。
「嫌なら脱がせてやろうか」
「自分でやります!」
エースは上着を思いきり脱いだ。勢いのまま、服を一枚ずつ脱いで、床に落としていく。
ついに最後の一枚──股間を守る下着に手をかけたところで、その手が止まった。急に恥ずかしくなったからだ。
まだ学生だった頃。部活が終わったあとのシャワー室で、周りにチームメイトがいようとも構わず裸になれたというのに、恋人の前になると、妙な羞恥心に襲われた。
顔を赤くしながら硬直していると、マレウスがソファから立ち上がった。
「もういい」
エースのすぐ前まで移動する。ピンと伸びていたマレウスの背中が、エースに覆いかぶさるように丸くなる。
エースの視界がマレウスの首元でいっぱいになる。香水が鼻腔を甘く刺激した。
下着にかけたままのエースの両手に、マレウスの手が重なる。指の骨をなぞってからエースの両手を離して、代わりに下着のふちに自身の指を引っかけた。
「あ……」
エースの股間を守っていた最後の一枚が、するりと下ろされた。足首まで落ちていったそれはもうただの布だ。
マレウスの指が、エースの尻の割れ目に潜りこむ。かたく閉じられた窄まりに指先をすりすりと這わせる。
表面を触られているだけなのに、エースはすでに甘い刺激に酔っていた。
「はあぁ……」
たまらずマレウスの背中に両腕を回して、すがりつく。
──このままベッドに連れてかれんのかな。
エースの期待はむなしく空回り。マレウスはエースから身を離して、こう告げるのだ。
「ソファに座れ」
次期王の絶対的な命令。エースは逆らえない。
「……うん」
うずく体を抱えながら、マレウスが先ほどまで座っていたソファに、今度はエースが座った。
マレウスはエースのすぐ前にひざまずき、裸体を開かせる。
「深く座れ。腰はもっと前に。足を閉じるな。全てを僕に見せろ」
王でもここまではふんぞり返らない姿勢になるまで、深く座らされるエース。肩はソファの背面にめり込み、開かされた両足はソファの座面からほとんどはみ出ている。
心細さのままに足を閉じたいのに、ひざまずいているマレウスが間に入りこんでいるせいで、閉じられない。全開になった股間をマレウスの目の前にさらしてしまう。
見目麗しい王族に、汚らしい股間を見つめられている。うぶな少女でもないのに、背徳感と羞恥心に襲われて、顔だけでなく体も赤くなってきた。
ペニスに熱が灯っていく。
「そんなに見なくてもいいじゃん……」
「……初めて見たものだから」
マレウスの言うとおり、エースがマレウスに裸体を見せたのは、今回が初めてだ。
だからどうしたらいいのか、エースにはわからない。つい生意気な口を叩いてしまう。
「初めてなんだから、ベッドに連れてってよ。オレが自分で行ってやろっか? そーだよ。それがいいって。だからさ、お、起こさせて」
「ならない」
マレウスは一言で切り捨てた。長い舌を出して、芯を持ち始めていたペニスをぺろりと舐める。
「ひゃっ!?」
逃げようとしたエースの腰は、マレウスの両手に捕まった。
「逃げるな」
マレウスはいったん舌をしまった。
エースの太ももを手のひらでなぞり、ひざ裏に手をかけて、すくい上げる。ひざから足首までを、ひとりがけソファのひじ掛けに左右それぞれ魔法で縛りつけた。
エースはソファに深く座る──深すぎて、胴体はほとんど座面に寝かされている──形で、ちんぐり返しの格好で拘束された。
まだ自由なままでいられている両手は、マレウスの両手に繋がれる。指を絡ませられて、背面クッションに沈んでいる頭の真上に押し付けられた。
マレウスの顔がエースの顔に近づく。
「僕と子作りしたいのなら、逆らうな」
「だっ、だって、こんなの、びっくりする。せめて何すんのか、言ってくれたって!」
「まだ言えない」
「なんで!」
「人間が妖精族の子どもを宿す方法を、まだお前に知られてはならないからだ。ここで全てを話したら、本当にお前は、後戻りできなくなる」
エースはマレウスを凝視する。
──まさか、まだこの想いを疑われていたなんて!
「ふざっけんなよ!! オレは本気であんたが好きなのに! この期に及んで、まだ疑うわけ!?」
頭を前に倒して、マレウスの額に自身の額を合わせたエースはまだ怒鳴る。
「だんまりを決めこむってんなら、やってやろうじゃねえか! 全部受け入れてやらあ!!」
つまり、今から何をされてもいいのだと、エースは宣言したのだ。……してしまったのだ。
(続く)