公開中
心音(こころね)は、君だけに甘く響く②
赤都 乃愛羽
第2話:君の鼓動は、僕の証
ちぐの体調が急変した。
これまで「少し体が弱い」程度だったはずの心臓が、限界を迎えようとしていた。
「……ちぐ、起きて? お願い……っ」
病室で泣きじゃくる莉犬くん。ななもり。くんは、医者からの「適合するドナーがいなければ、余命は短い」という残酷な宣告を、メンバーに伝えることすらできずにいた。
そんな中、るぅとくんだけは、静かに、そして冷徹なほど穏やかに微笑んでいた。
「大丈夫ですよ。ちぐは、僕が必ず助けます」
その言葉の本当の意味に、誰も気づかなかった。
るぅとくんは、グループの「天才」として、誰にも知られずにある準備を進めていた。
それは、自分の適合性を調べ、自分がドナーになれるよう裏で手を回すこと。
数日後。ちぐの元に「ドナーが見つかった」という奇跡の知らせが届く。
「……よかった、ちぐ! 本当に、本当によかった……!」
さとみくんが君の手を握り、ジェルくんところんくんも、涙を堪えきれずに安堵の表情を浮かべる。
でも、手術の前夜。
るぅとくんは、眠るちぐの枕元に座り、その「国宝級」に美しい頬をそっと撫でた。
「ちぐ。あなたは恋愛音痴だから、僕がどれだけあなたを愛していたか、最後まで気づかないんでしょうね」
彼は、いつもの優しい声で、でもどこか遠い場所から呼びかけるように続けた。
「でも、それでいいんです。これからは、僕の心臓が、あなたの体の中で、あなたを愛し続けます。……僕の鼓動が、あなたの命になる。これ以上の幸せはありません」
るぅとくんの手元には、メンバー宛ての置き手紙。
『急な海外での仕事が入った』という、真っ赤な嘘を添えて。
「さよなら、ちぐ。……愛しています」
翌朝。手術室へ運ばれるちぐと、姿を消したるぅと。
何も知らない君の胸の中で、新しい「愛」が拍動を始めようとしていた。