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友達作り㉕奈々が転校⁉
星
次の日。「佐藤君もグループに入って、私たち、ほんとにぎやかだね!」「そうだね!佐藤君っていう子いたんだなぁって思ってた。奈々ちゃんは、男友達作れないって思ってたからっ!」グループがソワソワする中、佐藤君がにこにこ笑顔で奈々に目を向けた。「ん?奈々?」奈々の不安そうな顔に気づいた佐藤君が、奈々の顔をのぞいてくる。「あっ、何?」奈々は、一瞬びっくりした顔を見せてから、すぐにいつもの顔に戻す。そんな奈々の様子を不思議に思った佐藤君は、「何かあったら言えよ。俺ら、いつでも親友だから。」と声をかけた。けれども奈々は、「ううん。大丈夫。ありがとね!今日の朝、部屋をぐちゃぐちゃにしたままだったなぁーって!家に帰ってすぐに片づけなきゃ!」奈々は焦るように言い出した。そのとき、先生の声が教室に響く。「みんな―!ホールルームはじめるよ!」「、、、、、、?」佐藤君は、疑問を抱えたまま席に座った。席に座っても奈々の表情は硬く、凍り付いていた。(俺、何かしたか?)佐藤君は、奈々よりも凍り付いて、考えていた。◇休み時間。「奈々。」「えっ!何、、、?」「いや、何でもない。」奈々がびっくりしているのを見て、少し慌てたのか、佐藤君は何も言わないまま教室を出て行った。そして、廊下へ向かうと、近くにいたメンバーを見つけて声をかける。「おまえら Lights、こっちにこい。」佐藤君は奈々抜きのグループたちを廊下に呼び出した。「な、何?佐藤君。」「何?今、モモちゃんと遊んでたのに。」「大事な話だ。奈々の様子がおかしい。」佐藤くんの真剣な横顔に、李央くんもすっと表情を引き締めた。「……あ。実は俺も、さっきの休み時間にちょっと気になってたんだ。奈々のやつ、いつもなら真っ先に騒ぐのに、ずっと教科書を見つめたまま一言も喋らなかっただろ?」「えっ、奈々ちゃんが……?」モモちゃんが心配そうに、胸の前で手をぎゅっと握りしめた。空ちゃんも眉をひそめてうなずく。「うん。ホームルームが始まる前も、なんだか上の空っていうか、目が全然笑ってなくて……」すると、カナちゃんがハッとしたように言った。「そういえば今日の朝、校門の前で、奈々ちゃんが知らない大人の人と深刻な顔で話してるのを見たかも。その人、すごく高級そうなスーツを着てて。奈々ちゃん、今にも泣きそうな顔をしてたの」「知らない大人……?」佐藤くんが低くつぶやき、ポケットの中で拳を握りしめた。「あいつ、部屋がぐちゃぐちゃなんて焦って言い訳してたけど、絶対に嘘だ。俺に『親友だ』って言われたとき、一瞬、すごく寂しそうな顔をして俯いたんだよ」みんなの間に、どんよりとした不穏な空気が流れる。昨日、みんなで手を繋いで綺麗な「大きな円」を作ったばかりなのに、その真ん中にいた奈々が、一人で何か大きな秘密を抱え込んでいる。「とにかく、本人に直接聞くしかない。あいつ、いっつも他人のことばかりで、自分のことは一人で抱え込もうとするからさ」佐藤くんがそう言って教室に戻ろうと振り返った、その瞬間。「あ、みんな、こんなところにいたんだ!」廊下の向こうから、奈々が無理に作ったような、張り付いた笑顔で走ってきた。その手には、なぜかみんなに配るためのプリントが、くしゃりと不自然に握られている。「次の授業、移動教室だよ!早く準備しなきゃ――」「奈々」佐藤くんが、奈々の言葉を遮って一歩前に出た。「隠すなよ。お前、何か悩んでるだろ。昨日、みんなで手を繋いで大きな円を作ったじゃんか。仲間が増えたんだから、悩みの重さだって、みんなで分けて軽くなるはずだろ。俺たち、親友だろ?」佐藤くんの真っ直ぐな言葉に、モモちゃんも奈々の元へ駆け寄り、その手をそっと握りしめた。「奈々ちゃん。私をこのグループに入れてくれたの、奈々ちゃんだよ。今度は私が、奈々ちゃんの力になりたい」「みんな……」奈々の瞳に、一気に涙がたまっていった。プリントを握る手が、わなわなと震える。ついに耐えきれなくなったように、奈々はポロポロと大きな涙をこぼしながら、小さな声でつぶやいた。「……お父さんの仕事でね、来月、遠い場所に引っ越さなきゃいけないの。みんなとやっと、もっとおっきな円になれたのに……ごめんね、、、、、、!私、転校しなきゃいけないんだ……!」