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タイトルはお任せします。
この小説を読むにあたって、タイトルは自分で付けて下さい。自分が思った通りで大丈夫です。その後どうなったかも好きに考えてもらって大丈夫です。完全な自己解釈でももちろん大丈夫です。
それでは、タイトルを決める旅へ、どうぞ。
毎日、毎日、この部屋に閉じ込められている。一人で。暗いわけでもないけど、一人だから嫌。そんな事をずっと思っていた。
私が唯一心の支えにしていたのは、置かれている本。王子様が女の子を助けてあげる、そんな本。こんな感じで私も救われたいな。何度そう思ったことか。
「ーー様、ーーの時間ですよ。」
いつもの知らない男の人。王子様に会いたいと思ったけど、この人は違う。
この時間は、少しだけだけど違う部屋に行ける。まあ、この部屋にも何も無いし、ずっとここにいたってつまらない。
「・・・。」
「どうしました?早くお願いします。この国の運命は貴方に託されているのですよ?」
そうやって脅したって言うものか。どちらかと言えば私はこの国が嫌いだから、滅ぶ運命なら滅んでしまえ。
「今日と、明日は、綺麗に晴れる。でも、明後日からは少し雨が続く。」
ついに伝家の宝刀使っちゃった。まあこれぐらいなら許されるはず。
「・・・分かりました。明日はもっと有益なー・・・。」
うるさい。私にとっても有益なんだから教えるわけ無いでしょ。
「それじゃあ部屋に戻りますよ。食事はもう摂りましたね?」
まあ食べたし、と頷く。部屋から廊下に出て、元の部屋へと帰る。
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部屋に帰っても、もちろん変化は何も無い。つまらないいつもの部屋だ。
「はぁ。」
座って、明日何を言うか考えていた。でたらめじゃ無ければ何でも良いんだろうけど。
「ガンガンガーン!!」
「!?」
突如、壁を何かで叩く音が聞こえてくる。随分急に来たものだから、凄く驚いた。その衝撃で、少しだけ壁に穴が空いた。そこから光が入り込んで、部屋は少し明るくなった。
「__あのー、__あのー!!」
壁の穴、つまり外から声が聞こえてくる。
「穴ー!空けちゃってすいませんー!」
「べ、別に、大丈夫、です。それと、そんなに大声出さなくても聞こえてますよ!」
あ・・・と声を溢したその人は、少し戸惑うように、
「えっと、シュウって言います!あ、名前、です。」
「あ、えっと、私は、あの・・・ユリカ、って言います!」
お互い途切れ途切れで話していたからか、声の大きさが変わっていなかったからか、何故か無性におかしくて、つい笑ってしまった。そうしたらシュウさんもつられてしまったみたいで、2人で笑った。
「ユリカさんって何歳なんですか?」
笑いが収まってから彼が聞いてきた。
「私は、16歳です。結構最近、誕生日だったので・・・。」
「え!?雰囲気的?にもっと上だと思いました!ちなみに、僕も16歳なんですよね。」
「え、それなら何で敬語で話してるんでしょう?」
「確かに、同い年なら別に使わなくても・・・。」
そこからまた2人で笑った。笑い過ぎぐらいには笑った。こんなに楽しいのはきっと彼がいるおかげ。シュウさんは私の王子様みたいな人なのかもしれない。
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「今日もシュウさん来てくれるかな・・・。」
今日は正直に、もうそろそろ何かが起こるって言っておいた。だって別にそれならまだ見えないって言えば避けられるし。
そんな事を考えていれば、あの人がやって来た。
「ユリカさ・・・ユリカ!」
結果的に2人とも呼び捨てになった。もちろん敬語も無しの、俗に言う友達みたいな関係。
「シュウさん!おはよう。」
「ちょっと!さん付けは無しって言ったでしょ?僕だって普通は敬語だし・・・。」
「あははっ、ごめんね?」
もう、と息をつくシュウ。彼の見た目は分からないけど、私の見た目だって彼は分からない。でも、少し気になっている。
「そうだ、ユリカって文字読める?僕あんまり読めなくて・・・。平仮名は読めるんだけどね。」
「あ、読める。読めるけど、それがどうかした?」
「この紙に、何て書いてるか教えてほしいんだ。唐突だけど、頼んでも良いかな?」
「全然、やるよ!そこの穴から渡せる?」
「んじゃ、よろしくね!僕これから仕事があってさ・・・。もう帰るね!明日聞くから!」
そう言ってシュウは帰ってしまった。外から穴を塞ぐように入っている紙を取り出し、中身を見てみる。
「何々、『数百年に一度、国が滅びる程の大地震アリ。起きた年をここに記しておく。1123年ー・・・』だって?」
そうして見て行くと、今から500年前に起きた地震を最後に記録は途絶えていた。
「・・・?。なら、それ、なら!?」
私の考えじゃ、もうそろそろ、な、はず。なら、
--- シュウは・・・? ---
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「ユリカァ!おはよ!」
「シュウ・・・。おはよう。」
「文字読めた?いやぁ、漢字?多くて読むの難しかったからさ。」
「うん、読めは、したよ。その上で、私から、お願いしても、良い?」
「ん、どうしたの?僕のお願い聞いてくれたし、全然良いよ。」
「今すぐ、この国から出て行って。」
「え・・・?何で?僕、変なことした?それな・・・。」
「私はね、シュウを、危険に晒したくないから。シュウが、いなくなるのは、悲しいよ。」
「悲しいなら、何で・・・?」
「悲しいから。いなくなってほしく、ないから。だから、今だけ、私の話を、聞いて?言ってしまうけど、今日この国は滅びる。そのはずだから。」
「なん、なんでなんだ!?聞かせてくれよ!」
「そんな事を言ってる間にも、来てしまうから。なるべく急いでね。」
「__ユリカは・・・__ユリカはっ!?」
「私は、私の、責任を果たすだけ。シュウ、ありがとうね。」
シュウは穴越しでも分かる程に泣いていたけど、その涙をぐっと拭って、この場所から離れていった。
それから数時間。ぐらりと地面が揺れる。立てないし座れない。とても強い地震。
建物は崩れて、私は潰されてしまいそう。でも、この運命に付き合うのも、私の責任なんだから。
わたし、シュウにあえてしあわせだったよ。
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一人の少年が、国の新聞を手に取る。
『ーー国で大地震が発生した。ーー国の目玉でもある預言者のいた施設も崩落、全員居場所は不明。国は中心部まで崩壊しており、復旧は考えに無いとされる。』
「ユリカ、ありがとう。」
大丈夫、だよ。私、シュウが、生きれてて、嬉しいから。
2511文字。