公開中
星の数。
読み切りです。
しし座、乙女座。あ、あれは夏の大三角?
そういえば今日は七夕。織姫と彦星は出会えてるかな。
---
私、星羅(せいら)は夜空が大好き。
望遠鏡から見る星も好きだけど、肉眼で見るぼんやりとした空も好き。
夜空は吸い込まれそうなくらい美しい。
でも、その分殆どが黒と白で私がそっと消えるような気もしていく。
七夕、たなばた、タナバタ、TANABATA。七夕の一言でも印象は大きく変わる。
私は窓に駆け寄る。
家は23階建てのマンションの最上階の端。
屋上のすみっこは私の隠れ家。
そこからは星空が1番綺麗に見える。
私はコンクリートに寝そべり空を眺める。
程よい暖かさが心地よい。
上を見れば満天の星空。下を見れば人のざわめき。
「何で星羅ちゃんは空が好きなの?」
何度聞かれたか。
「うーん。なんでだろね」
誤魔化し続けたけど。誤魔化しきれないのが自分の心。
「現実逃避」
漢字にすると4文字。声にだしたら7文字。
たったそれだけなのに。私はずっと苦しめられた。
でもーー
星空は大好き。
吸い込まれそうで。自分を救ってくれそうで。
私は手すりへ駆け寄る。
今日の星空を見るまでは今日こそは、とか思ってたのに。
現実から確実に逃げる予定だったのに。
でも。
私はもう少し。
いや、もっと。
この星空を見ていたいみたいだから。
読んでいただきありがとうございました!