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無情で無慈悲な操人形(2)
前回までのあらすじ
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↑これを読め((
清少納言side
紫式部「……っ、私のことはどうでも良いのかよ!」
いつの間に異能力を発動していたのか、また槍が創られている。
そして、私の胸を貫いていた。
太宰治「清さん!」
紫式部「な、んで……っ」
清少納言「……理由なんかないよ、紫式部。今の私は君の言った通り、随分と腕の落ちたからね」
私は乾いた笑みを浮かべながら槍に触れた。
やっぱり無像じゃないから消すことはできない。
治のように異能で作られたものだから、と無くせたら良かったけど。
清少納言「触れないでよ、治。与謝野晶子の居ない今、槍が消えたら流石の私でも出欠多量で死ぬ」
江戸川乱歩「どうするつもり?」
傍観者でいるつもりなのかと思った名探偵が声を掛けてくる。
江戸川乱歩「暫くは与謝野さん帰ってこないよ」
清少納言「だろうね」
江戸川乱歩「……時の流れを遅くしようとも、君の迎える結末は変わらない」
清少納言「あぁ、変わらないとも」
私の異能力は“枕草子”。
無像を操ることが出来るだけで、完全に時間を止めたり回復を早めることはできない。
清少納言「私が死なないという未来が、変わることはない」
今も吐血してる奴が何を云っているんだ、という空気を感じる。
確かにその通りだ。
与謝野晶子もおらず、私が死ぬ未来以外思い浮かばない。
紫式部「清が死ぬなんて、」
清少納言「……。」
紫式部「そんなの、私が許さねぇ」
蝶が舞う。
紫色の文字列が浮かぶ。
探偵社の面々は、その光景に見覚えがあるようだった。
清少納言「──本当、面倒くさい人ね」
槍が消え、私の傷は塞がる。
彼女の異能力は、正直よくわからない。
ただ、彼女しか《《アレ》》は扱えない。
紫式部「……大丈夫?」
清少納言「見ての通り、服はボロボロよ」
紫式部「……良かった」
まさか、ここまで不安定になるとは。
マフィアを抜けたのは少し間違いだったかもしれない。
太宰治「あの、紫さんの異能力って……?」
紫式部「……。」
清少納言「こら、後輩を睨まない」
紫式部「痛っ……じゃなくて、太宰はもう後輩じゃない! 裏切り者だ!」
清少納言「私もそうなんだけど?」
紫式部「大丈夫、清のことは誰にも殺させないから」
清少納言「今さっき君に殺されそうだったんだけど」
そんなことを話していると、探偵社の扉が勢いよく開かれた。
与謝野晶子「清さん! 大丈夫なのかい!?」
清少納言「うん。もう治してもらったからね」
紫式部「──アキちゃん?」