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魔法戦記クオーレ・イクイノックス 第五話
ねの麦餅
大雑把なあらすじ、前回、第五守護天使を倒しました、どんどんパフパフ。しかし、物語はまだ始まったばかり。
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「……第五の守護天使の殲滅、よくやってくれたわ。流石は信吾君ね。」
里美さんが仕切りに褒めてくれる。でも、これは多分イクイノックスに乗ったからじゃなくて、やっぱり、守護天使を倒したから褒めてくれるんだろう、と頭の中で理解する。
「里美さん、すみません。ちょっといいですか?」
「どうしたの、信吾君。」
僕は胸の内を話すことにする。
「守護天使を倒す為の、イクイノックスって、後、他のパイロットはどうしたんですか?僕と、愛生波ばかり戦っているような気がしてならないんです。」
「グッドタイミングな質問ね。丁度、2日後に向かいに行く予定よ。」
--- 2日後 ---
今、僕らは空母の上にいる。今日、イクイノックス3番号機とそのパイロットが届くらしい。
里美の名を呼ぶ少女の声が聞こえた。里美に紹介されたその少女の名は、イクイノックス3番号機の専属パイロット、佐倉ユキマだった。
「Hello!!里美!!元気してたかしら?」
白い長髪で、美人顔な女子で、活発そうな雰囲気がある。
「で、この、辛気臭い奴がイクイノックス2番機のパイロット?」
ユキマはずけずけと顔を覗き込んでくる。
「そうよ、彼がイクイノックス2番機のパイロット。」
「ふーん、なんか嫌な感じ。」
ボロクソに言われる。
その時、船全体が揺れる。他の艦隊も同時に揺れている。
「水中衝撃波?!まさか……」
その時、船と同じほどのアメンボを目視する。
「あれは、|守護天使《ガーディアンエンジェル》…!」
里美さんはそういうと通信を始める。
「第六守護天使を目視で確認!海岸に、1番号機を、タスク01での殲滅作戦を準備して!!」
「その必要はないわよ。」
ユキマが声を上げる。
「私が、イクイノックス3番号機でアイツをここで倒すわよ」
「ダメだよ!危険すぎるよ!」
僕が即座に反応する。イクイノックスは陸上兵器及び空中兵器だ。水中戦闘についてはあまり触れられてきていない。
「……ユキマ、わかったわ!早く乗りなさい!」
僕はその言葉に驚く。しかし、ユキマはさも当たり前かのように腰に手を置いて堂々とする。
「わかったわ!必ず屠ってやる!」
そう言って、駆け出して、数分後、イクイノックスを運んでいた所の布が動き始める。
そして、布が取れる。
「あ、赤いんだ、3番号機って…」
「信吾君、違いは色だけにあらずよ。あれは、最新の正式タイプのイクイノックス。性能的には、現存する全てのコード登録されたイクイノックスの中で一番よ。」
その言葉と共に、赤い機体が空に浮き、そして、別の船の甲板に着地する。それを繰り返して、アメンボ状の第6守護天使に近づく。
その間に、里美と信吾は船の指令室に移動する。
そして、守護天使の進行する船の甲板に着地し、そこで自身の腕についているマシンガンユニット※¹とリストガン※²から、大量の弾丸を放つ。
しかし、守護天使は怯まずに突撃してくる。そのまま衝突し、艦体が裏返り、3番号機が海に落ちる。
「チックショー…舐めるんじゃないわよ…ってキャ!!」
水の上にいる守護天使の、アメンボで言う口の部分が伸びて、水中の3番号機の胸に刺さり、海底に叩きつけられる。
その時、船の指令室から怒号が飛ぶ。
「あの、イクイノックスは装備type‐2だぞ?!」
「なんですって?!」
その言葉に里美さんが弾かれたように叫ぶ。
装備type‐2は、陸上高速戦闘用装備で、水上戦を視野に入れておらず、装甲が軽く、移動に癖がないのが特徴の装備だ。
それを通信で聞いたユキマが叫び返す。
「そういうことは早く言いなさいよ!!」
胸に刺さる第6守護天使の攻撃を、引き抜こうともがくがあまり効果がない。その時。
「…って水がコクピットに入ってきてる!!」
コクピット内が少しづつだが確実に浸水していっている。守護天使の攻撃の影響により、装甲がずれて隙間が生じたのだろう。
「くそ、くそくそ…!!あ、そうだ!!」
ユキマは思いついたように目を輝かせる。
「あいつがアメンボと同じなら、表面張力によって浮かんでいるはず…里美!!全部の船に、ビルジを放水させて!!」
「全艦体、ビルジを直接放水させて!!」
その後、守護天使を取り巻く艦体からビルジの放出が始まる。すると、大きなアメンボのような体が傾いていく。その瞬間に、3番号機は自身の胸に刺さる管を引っ張る。そうすると、守護天使が海底に向かってくる。
「ここがあんたの墓場よ!」
そして、ウェポンカッターによって守護天使のコアを破壊する。
大爆発が起きて、水柱が立つ。そして、爆発の衝撃によって3番号機が里美たちのいる船の甲板に降りる。
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--- 数日後 ---
今日も普通に学校に通って、域崖隻と関山陽徒の二人とつるんでいる。その時、大きな音と共に、教卓の後ろに、白い長髪の女子が現れる。僕は驚いた。
「Hello.こんにちは。私は、佐倉ユキマ。よろしくね!」
--- 第五話、完 ---
・※¹マシンガンのユニット:腕の前腕部に取り付けられた高速連射が可能な2連装の劣化ウラン弾のマシンガン。外付けであり、外すこともできる。
・※²リストガン:イクイノックス備え付けの手首装甲に直接つけられている戦車レベルの威力の低速連射砲。威力に期待はできない。