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オフィスかちこみ物語②
「え、どこにですか?」
「なぜその恰好なの?」
「パンツがありませんが、それが何か?」
「お父さんですか?」
「その名前までつけているのですね。」
栗鼠が首をしめる。
「もう結構です。こんな大事なこと」
「そう、それにしましょう」
「でも、栗鼠ちゃん、これをどうするの?見ての通り、私たちには不要な書類だわ。誰が見ても分かることじゃない?」
桃色髪の美人は、このままではセクハラ上司になる可能性がある。
「あ、それを言いましたね、わからなければ教えない、と。」
翠の冷めた発言に、彼は怒った。セクハラ上司は立場を無視して桃色髪に迫る。
「セクハラは、俺を上司と呼ばない女のせいだぜ。」
「私はまだ先輩と呼んでもらいたいです。」
桃色髪と翠が口論し、翠が泣きそうな顔をする。
「そう、お願い──!」
「翠くん、落ち着いて。」
栗鼠が泣き止む翠を止める。
「栗鼠さん、それを聞きましたか?」
「聞いているわ。だれも私の話を聞いてないから大丈夫。自分の立場を考えてみてよ。」
「……すみません、すみません。」
栗鼠は翠を落ち着かせるために強引に言い訳を出す。
「あなたの態度に困っています!」
「翠くん、私はあなたの上司です。だから、あなたが自分で気にしなければもっとお願いするわ。」
翠は少し怒っているが、すぐに笑顔になる。
「そう、お願い。実は、あるお願いがあるのよ。」
「何でしょうか?」
「私、初めてあなたのことを名前で呼びました。だから私は、自分のためにもお願いしたいの。何かお役に立てないかしら?」
「それは、私があなたのために何かをするという意味ではないですよ。」
「そう?だとしたら、これからは私があなたのために、あなたのお願いを叶えるわ。」
「私のように?」
「うん、私のように。」
「私は大丈夫ですよ。そんな難しい話ではありませんから。」
「わかった。それなら、お願いを叶えてもらうわ。」
「了解しました。……わかりました。その代わり、私にできることがあるかどうか教えてください。」
「それは……」と栗鼠は少し考えてから、
「こんなことはどうでしょうか?」
と提案する。
「私からの提案です。」
「提案ですか?」
「何でも、あなたが考えることを教えてください。」と栗鼠は微笑みながら言う。
「私はあなたに何かをしてほしいのです。何でもいいから、何かを私にしてほしいと言ってみてください。」
「何でも言ってほしいとは?」
「何でもいいから、何か私に何かをしてほしいと言ってみて。あなたは私に何かをしてほしいと思いますか?」
「それは少し違いますよ。」
「じゃあ何なの?」
「何でもありません」と栗鼠は言いながら、自分の心の中を思い浮かべる。彼は確かに翠を守るために動いていた。
「だけど、その何かをあなたにやらせるのは、私だけでは決められません。」
「それがあなたの言いたいことね。でもなぜ私にそれを言ってくれたの?何か手伝えることがあるじゃない?何か私にできることはないかな?」
「何でもいいです。私にできることなら何でもいいですから、私のために何かしてください。」
栗鼠は少し顔を赤らめる。私はそんな彼を見て、
(彼はとても可愛い……)
と思い、少し息が止まる。栗鼠の真剣な顔を見て、私は何か悪いことをしているように感じた。その日は栗鼠の家に帰る前に、彼と色々話した。