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その男
22☓☓年/7月/25日
「チャンネル登録好評価お願いしまーす。はい、それじゃあさようならー」
そう言い、撮影終了のボタンを押した。
俺は、無表情でゲーミングチェアにもたれかかる。
ヘッドホンは外し、机の上にあった水のペットボトルを適当に掴み、半分くらい入ってた中身を一気に飲み干す。
「はあー。しんど」
しばらく椅子にもたれかかっていたが、起き上がり動画をチェックする。しばらく動画を再生して確認するが、無事抜け落ちは無いようでホッといつの間にか張り詰めていた空気が霧散する。もし、撮影が失敗していたら数時間の撮影が全てに無に帰す。
無事保存できていることを確認したら、パソコンの電源を落として椅子から立ち上がり、ベッドにダイブする。少し硬いスプリングは一度沈み込んだ体を持ち上げる。
その男の部屋のデスクの上には使いかけの目薬や、アイマスク、それから乱雑に置かれた仕事に使うのであろうデュアルディスプレイのパソコンやマウス、キーボードがある。デスクの下には段ボール箱いっぱいに入った水のペットボトルが鎮座していた。
その周りには脱ぎ捨てられたパーカーが落ちていたり、ゴミ袋にそのまま入れられたペットボトル達、どこかのスーパーのレシートや充電ケーブルが散らばっていた。決して汚いと言うほどでもないけれど綺麗でもない生活感のある部屋だった。
窓からは、薄いカーテンを透かして少し見える月が雲の影からそっと覗く。月明かりが横たわった男を見下すように光っていた。
男の部屋には窓際にかけられた時計がカチカチとした音と男の呼吸の音しか聞こえない。
その時計の短針はすでに一時を少しすぎたあたりを指していた。
僕――|財前《ざいぜん》 |碧《あお》は、まあまあ上位のゲーマーだった。来年の春に高校二年になるにしてはゲームはうまいし、実況能力も高い。勉強も優秀というほどではないけれど、ゲーム実況の仕事をしていても遅れは出ていない。
しかし碧は両親に対して負い目を感じていた。
なぜなら、碧の両親は父親が医者で、母親が女優をしていたからだ。両親には碧は愛されていた。そのため両親は、聞くとが幼い頃は周囲から絵に書いたような幸福な家族だとか、エリート家族だとか言われていた。
しかし碧は中学生の頃に手酷いいじめに見舞われた。
もともと内気な性格ではあったが、仲の良い友達だっていたし、社交的でいようと努力もしていた。
その頃から、碧は周りを恐れ学校にもいかないいわゆる不登校児になってしまった。
それでも碧の両親は、碧を愛していた。学校に行けないなら自分たちが教えればいいと、勉強も教えたし、いじめのことを思い出して泣いていたら無言で寄り添ってもくれた。
その甲斐あってか碧は中学を無事卒業できた。両親の強いすすめもあって高校にも入れた。無事第一志望とはいかなかったが、第二志望の高校に入ることが出来た。
その高校での碧の成績は甘く見積もっても中の上。そんなんで両親には感謝し尽くしている。
両親が碧に社会復帰させるための一環としてオンラインゲームを買い与えた。オンライン場だけでも良いから誰か、人と話しなさいというのが両親の言い分だが、碧はただ新しい趣味でもなんでも創ってほしかったからではないかと思っている。
今では手慣れているが、最初の頃はもうグダグダだった。
最初は練習としてやったのだが、すぐに無言になったり滑ったりで最悪だ。もうあれは黒歴史として封印している。
あれは絶対に世にだしてはいけないような代物だ。もし世に公開されでもしたら自殺したくらいだ。もしも公開したら僕は絶対にまた不登校になる。それだけは言える。
でも今では登録者数一万人ほどの動画配信者で、ある程度ネタもあるし、話し続けることもできるほどにはなった。
収益化だってしてるし、一定数のファンも付いている。自慢ではないが、結構上澄みの方の人動画配信者ではないだろうか。
さて、配信は終わったことだしそろそろ寝るか。明日からは⋯⋯というか後一ヶ月くらいは夏休みだから存分に夜ふかしはできるけど健康を保つのって大事だからね。
⋯⋯一時は健康的ではないかな?
くっ⋯⋯
ユー◯ューブとかユー◯ューバーとか何回も打ちかけてしまう自分が憎いよぉ
流石に名前出せない
誰でも良いから見た人はマジでコメントしてほしいです
「あ」だけでも良いからほんとにコメント頂戴
誰かが見てるってだけで力になるから
お願いします!