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1話「始まりの召喚」
「…はぁ…」
彼は今日も会社へ。
歩いて。
ときには走って。
残業残業残業。
もう飽きてきた。
そんな寝言も言えない。
そんなに苦しい状況で。
ある日の帰り道に。
事件が起こった。
「…あ?」
急に彼の周りに魔法陣が展開される。
その魔法陣は急に回り出して。
深みを出す。
その中に彼は吸い込まれていく。
「ちょ…ええええええええ!?!?!?」
次に、目が覚めたのは。
日本には見合わない。
玉座のような。
そんな空間であった。
「其方に聞こう。其方は異世界から来た存在であるか?」
どうやら、これは…
**異世界召喚**
という奴らしい。
「…其方に試練を与える」
そう彼がしゃべると周りから騎士のような存在が出てきた。
剣を持つ。
相手はやる気だ。
もちろん俺は準備も何もできていない。
「………どうすれば…」
そうしゃべったのも、つかの間。
剣が振り上げられて。
必死に避けようとしたが、腕に当たる。
「がぁ!?ってぇぇぇぇ!?!?!?」
まずい。まずいまずい。まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい__
せっかく新しい世界へ来れたというのに。
死ぬ。
死ぬんだ。
こいつらに殺されて。
俺は勇者でもなんでもないんだ。
そんな高望みをしないでくれ。
俺に何を求めているんだ。
俺に………
また、剣が振り上げられて
今度は避けきれずに。
頭へと直撃する。
「ったぁ!?やば__」
これは洒落にならない。
死亡確定だ。
あぁ。
ここで死んだら、またあの世界に戻るのかな?
でも。
変わらない日常ってのも。
あまり悪くない。
「…なんで…なんで俺はまだ…生きてるんだ…?」
よく見たら。
腕の傷はもうなくて。
頭の痛みなんて、そんなものは既になくなっている。
どうやらこれが。
俺に与えられた唯一の。
**能力**らしい。
「…痛みを伴っているな。実験は失敗じゃ。そいつは…適当に…殺しておけ」
「…は?」
やばい。
全方向から剣が振り上げられている。
それは、それぞれ違う箇所に当たる。
頭。
左腕。
右腕。
左足。
右足。
背中。
後頭部。
痛みが一気に自分を襲って。
それでも、まだ。
意識は絶えない。
俺はまだ死んでいない。
あきらめない限り。
この生命は続く。
あきらめない限り。
俺は死なない。
誰が殺されてやるか。
誰が死んでやるか。
死ぬ?そんなのくそくらえだ。
俺は自由だ。
この世界では。
この世界でこそ!
自由に生きる。
そうして、生命をつなぐ!
生命を紡ぐ!
気づいたら。
もう痛みはどこにもなくて。
俺の意識は。
暗闇の中へとあった。