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星の羽ばたき
一応、原作やってるタイプなので所々専門用語を知らずのうちに使っているかもしれません。
正直に言うと王子生まれなのでそこぐらいのオープニングの始まり方しか知りません。
そして、生まれた。
柔らかい砂の上に硬い陶器のような身体を埋めて、初めて見る景色をしかと黄色い瞳に焼きつける。
初めて“砂”を踏みしめる感触、涼しげな少し強めの風、眩しい朝日のような光、そして手に突如として現れる赤く心強いたった一本のキャンドル。
ゆっくりと確実に歩き、周りにその赤いキャンドルが生えているかのように置かれた数本、数本に火を灯していく。
やがて、その火が全体に燃え移り、洞窟のような空間の黒い岩壁に白く何らかの物語が描かれる。
そしてそこで、ようやく自覚する。
とても大層な使命を抱えていることを確認し、再び他のキャンドルに火を灯していった。
物語を、自分の使命を、粗方理解し始めた頃、初めて水に触れて少し心が踊っていた頃に遠くで自分の瞳のように黄色く輝く人の形を模した誰かがいるのに気づいた。
その誰かは私に手を差し伸べると、すぐに姿を消し、私の中に吸い込まれていった。
暖かな感覚に包まれながら、自分の前に立つ大きな壁に気づく。
跳んでも越えられそうにはない。
どうするべきかと悩んでいると、先程の輝く誰かが何か助言をしたような気がした。
それに素直に従って自分の身体を浮かすように跳ぶように跳ねると、すぐに自分の身体が浮遊し鳥のように飛ぶことができた。
あの誰かは私の“羽”になったようだった。
更に進んでいき、青白く発光する人と会った。それは何も喋らず、うずくまるような姿勢で何かを憂いているようだった。目の前の薄い壁は通れず仕方なく、その人物に近づく。
その人物を慰めようとして、赤いキャンドルが触れてしまった。その瞬間、それは高く飛び上がり移動したかと思うと複数人で何かをしているような思い出...記憶、が流れる。
それは決して私の記憶ではなく、その人物の記憶で何やら空を飛ぶ舟を作っているようだった。
最後の記憶が流れ、人物は化石のように黒い石を纏い俯く。また火を灯すとその人物がお礼を言って、薄い壁の先の神殿のようなものを指差した。
また初めての草花を踏みしめる。良い香りが辺りに充満していた。
神殿のような場所には白い鳥が描かれた大きな扉に両脇に赤いキャンドルの祭壇が一つ。
祭壇に火を灯せば、すぐに扉が開き、大きな墓のようなものに新しく白いキャンドルが神聖な雰囲気で並べられている。
火を灯し、座禅を組む。たったそれだけのことが自分のいる場所が大きく変わり、青く暗い空に背格好の大きい老人が杖に火を差し出すよう促す。
促されるまま、火を灯すと老人の周りに白い鳥が飛び回り、老人が杖で指した方向へ鳥が羽ばたいていった。
まるで、その先へ進めと教えられているようだった。
目が醒めると、神聖な空間に更に強い光が射し込んだ。奥の扉が開かれ、白い雲と青い空の先に緑の大地があった。
ここから私の物語が、使命が始まるのだと心が踊った。
一歩を踏み出して飛んだばかりの羽を大きく動かし、私は羽ばたいた。