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とりぷるふーるず!!
枯花
ここは――世界の目が注がれる名門校、蓮見河大学附属高校(はすみかわだいがくふぞくこうこう)。
この学び舎をひとことで言い表すなら、「実力主義」。
そして、なかでも頂点に立つのが――生徒会の3人だ。
現代のゴッホと呼ばれる若き芸術の鬼才。
出場したすべての大会で最優秀賞をかっさらう、蓮賽 汐花(はすさい しおか)。
歴史に残る学術発見をいくつも成し遂げた天才少女、茜 弥生(あかね やよい)。
ありとあらゆるスポーツで輝き、オリンピック候補にも挙げられる身体能力の化身、宝条 条兎(ほうじょう じょうと)。
彼女たちは、生まれながらにして"選ばれた"存在――
けれど、天才は燃え尽きるのも早い。
今、この3人は、静かに、天国に堕ちようとしていた。
「……君たち、名前は?」
小さな声が、薄暗い部屋に響く。
「蓮賽……汐花」
「宝条……条兎」
「茜……弥生」
静かに、淡々と。まるで、遺言のように。
蓮賽「ねぇ……ボクさ。どれだけ描いても、"現代のゴッホ"って呼ばれるんだ。
努力したって、結局は"誰かの二次創作"……そんなの、やってられないよ。だったらいっそ、"しょーもないやつ"になりたかった」
条兎「私は……女の子でいたかった。ずっと。でも、お母様が許してくれなかったの。なら、もう……生きてる意味、ないよね」
弥生「……そっか。僕は……もう、なにも見たくない」
沈黙。落ちる空気は、鉛のように重かった。
蓮賽「……ぷっ……っはは、あはははっ!!」
「「!?!?」」
蓮賽「なんかさ、急に可笑しくなってきちゃった。
なんで、私たちが変わらなきゃいけないの? 世界のほうが、おかしいんだよ」
条兎「……そうだよ。変わるべきは、私たちじゃない」
弥生「……ならさ。もし、明日の朝――
ほんの少しでも"何か言いたくなった"ら、屋上に来て。話そうよ」
蓮賽「……うん!それ、なんか……楽しそう!」
条兎「……賛成」
じゃあ、さようなら。またいつか。