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【PROLOGUE】
『失楽園』
旧約聖書に出てくる、人類の始祖「アダム」と「イヴ」が蛇にそそのかされて神に禁じられた善悪の知識の木に生る禁断の果実を食べ、怒れる神に楽園「エデンの園」を追放される出来事――
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高い時計塔の最上階、一人の少年が佇んでいた。
…いや、その少年は、人間ではなかった。黒い翅が背中に生え、留まることがやっとのような光輪は黒く光り、所々が欠けている。
『…まさか、此程の力が有り余っておるとはな。すこし、お前のことを見くびっておった。』
全方位から向かってくるような、厳格で、どこか慈悲を感じる声。
静かに裁判所に木霊した声に、少年が静かに口を開く。
「すべてを作ったカミサマに褒めてもらえるなんて光栄だよ。」
『しかし、ここに集う人々を狡猾に騙し、唆すのを黙認しているわけにもいかない。』
『カミサマ』の声が重く響いた。それと同時に少年の体が静かに発光し、光が収まる頃には少年の姿は無く、一匹の白蛇だけがそこに居た。
『罰とし、お前は獣のうちで最も呪われる。永遠甚だしい時間を腹で這い歩き、ちりのみを食べるであろう。』
蛇が目を細め、赤い舌をちろりと出してシャーと鳴いた。
それっきり、何も声は聞こえなくなった。
「…すべてを作ったカミサマも、蛇に堕ちればもう懲りると思ってたみたいだ。僕の執念はそんなもんじゃあ済まないよ。…僕を動かせるのは、僕だけだ。」
それだけ呟くと、蛇はずり、ずりと動きながら暗闇の中に消えていった。
時計塔の鐘がリンゴーン…リンゴーンと鳴った。
それと同時、時計塔の中に13歳の男女が現れた。
どこからか、蛇の嗤う音が木霊した。