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恋する爆弾娘
とやまる
ぜひ読んでください。
**第一章:予算案と聖剣のディスタンス**
「待たせたな、ルシエラ!今日こそ決着をつける!」
世界を闇に突き落とす魔王軍の総大将にして絶世の美少女ルシエラに対し、人間の勇者アルスは聖剣を構えた。だが、ルシエラは戦場に置いた長机で高速でそろばんを弾いていた。
「ちょっと待ってアルスくん!今『今期予算編成会議』の真っ最中なの!領地拡大の進捗が遅れてて全線兵の有給消化率がゼロだから労基に睨まれてるのよ!あと15分待って!」
「待てるか!なぜ最終決戦の場に予算案を持ち込んでいるんだ!」
アルスは頭を抱えた。彼は知っていた。この魔王の娘が、自分を好きすぎて頭がおかしくなっている限界ガチ恋勢であることを。世界侵攻の動機も「攻め込めば確実にアルスくんに会えるから」という職権乱用だ。
(ああっ!今日のアルスくんの鎧、いつもより輝いてない!?線の細い美形なのに脱いだらすごいタイプなのが衣装の上からでもわかる!尊い!好き!今すぐその聖剣で私の心臓を一突きして!むしろ結婚して!)
「ルシエラ、いま口から『結婚して』って本音が漏れてるぞ。」
「な、なんのことかしら!?私は『血婚して(血みどろの戦いをしよう)』と言ったのよ!魔族独特の比喩表現よ!」
**第二章:世界最強の、しまらない決戦**
なんやかんやで会議は終わり、ルシエラとアルスの最終決戦が始まった。
「喰らいなさい!我が一族に伝わる伝説の奥義!『|終焉の業火《エターナル・フレア》』!」
ルシエラが杖を振ると、触れた物全てを炭化させる漆黒の炎が津波のように押し寄せた。動機はアレだが魔力は冗談抜きで人類絶滅レベルである。
「光の加護よ、我が刃に集え!『|聖光覇斬《シャイニング・ブレイク》』!」
アルスの一閃が黒炎を真っ二つに切り裂いた。爆炎を突き抜け、アルスは驚異的なスピードでルシエラの懐へ迫る。アルスの剣が、彼女の喉元でピタリと止まった。
しかし、距離が近すぎた。アルスの澄んだ青い瞳が真っ直ぐに見つめてくる。ミントの爽やかな香りがルシエラの鼻をくすぐった。
(近いいいいいいいいいいい!嘘でしょ、毎日泥まみれで魔物と戦ってるはずなのに何この清潔感の塊!?もう無理、今すぐここで式をあげるわよ!)
「ルシエラ、お前の負けだ。大人しく__。」
「恥ずかしいから離れなさあああああいッ!!」
ルシエラは羞恥心が限界を突破し、防衛本能で最大火力の防御結界(物理衝撃波付き)を全方位に放ってしまった。
**ドガアアアアアアアアアン!!!**
「うわあああああああっ!?」
至近距離で核レベルの衝撃を喰らったアルスは、弾丸のような速度で遥か彼方の空へと吹き飛んでいき、キラーンと小さく光って星になった。
**第三章:街路樹の影のストーカー**
数日後。人間界の城下町にある喫茶店。アルスは全身にミイラ並みの包帯を巻いた姿で、特盛りいちごパフェを食べていた。
「まさか、あの至近距離から大陸の反対側まで吹き飛ばされるとはな……。」
そんな彼を、街の街路樹の陰からじっと見つめる人物がいた。トレンチコートの襟を限界まで立てた不審者__ルシエラである。手帳に『アルスくん観察日記:包帯姿もセクシー。尊い。』と猛烈な勢いでメモをとっていると、突如、街の大通りに乱入者が現れた。
「ギャハハハハ!我らは暗黒結社『|堕悪左反《ダーク・サタン》』!この街を血の海に変えてやる!」
巨大な鉄球を持った魔獣の集団だ。アルスは立ちあがろうとしたが、全身の包帯が邪魔をして動けない。その時だった。
**第四章:愛のブラックホールで、またいつか**
「ちょっとそこどきなさいよお前らああああ!!」
猛烈な怒声と共にルシエラが飛び出してきた。
「私のアルスくんがせっかく幸せそうにパフェを食べていた至福の時間を邪魔するんじゃないわよ!消え失せなさい、『|超重力崩壊《グラビティ・エンド》』!」
指をパチンと鳴らした瞬間、魔獣たちの頭上にブラックホールが出現し、一切の見せ場もないまま全員がお空の彼方へと飛ばされた。戦闘時間はわずか3秒。
静寂が戻った街で、アルスは窓越しにルシエラを見つめ、最高の爽やかスマイルを浮かべた。
「助かったよ、ルシエラ。ありがとう。」
**ドクン!!!** ルシエラの心臓がマッハ3で跳ね上がる。
(あ、アカン。死ぬ。破壊力が世界滅亡呪文より高い。もう限界、爆発する。私が爆発する前にこの思いを伝えないと__!!)
ルシエラは顔を真っ赤にし、ガタガタと震えながら叫んだ。
「お前のことが親の仇の100倍くらい好きよーーーっ!!次に私の前に現れるときは婚姻届と婚約指輪を持ってきなさい!じゃなきゃ国ごと世界を消滅させてあげるんだからねーーーーーーっっっ!!!」
アルスが驚愕する暇もなく、彼女は恥ずかしさのあまり2度目の『|赤面大爆発魔法《ウルトラエクスプロージョン》』を暴発させた。
**ズガァァァァァァァァァン!!!!**
喫茶店の手前で綺麗なキノコ雲が上がり、哀れな勇者アルスは再び音速を超えて遥か彼方の空へと吹き飛んでいった。こうして世界の平和は一応守られたが、勇者の生存率は未だかつてないほどの危機に瀕しているのであった。
おしまい
原作、SAKUTARO777。これを作ったのは、とやまるって感じです。ファンレターお願いします。