公開中
自由に生きたい②
「|覇亞《はつ》。」
「あっ。|兎羽《とわ》!どうしたの?」
「今日、大事な話があるんだ。」
「え、うん。分かった。」
どうしよう、別れよう、とか、かな…
--- ~帰り道~ ---
「それで、大事な話って?」
「覇亞、過去に何があったの?」
「…どうしてそんなこと聞くの?」
「覇亞が、辛そうに見えるから。」
「え、大丈夫だって!私は辛くない…」
「嘘つかないで。」
兎羽が今まで見たことがないような真面目な顔をした。
「そう、なのかな?わからなくて…」
「わか、らない?」
「うん。でも…過去のことも、自分も…考えると、辛い。消えたいって思っちゃう。」
「覇亞は、よく頑張ってるよ。」
「頑張ってなんかないよ、ただ、思ったまま行動してるだけ。」
「でも、覇亞は頑張ってるの。それで、過去に何があったの?」
「私、生まれつき身体が弱くて、何回も病気にかかってたんだよね。それで、金をかけさせるな!って言われて怒られちゃったんだ…。暴力も振るわれて、この包帯の下も後遺症だらけ。左目も…潰されちゃったの。今は義眼。」
「なんでそんなこと言わなかったんだ!気づけなかった僕も…ダメダメじゃないか…。」
「そんなこと思わないで。」
そう言うと、なんだかくらっとしてきて、またパニック症状が出てきてしまった。
「え、あ。ゆっくり息吸って、。落ち着くまでいるから。」
あたたかかった。嬉しかった。少し、気が楽になった気がした。
「落ち着いた。ありがとう。」
「ううん。施設は、大丈夫なの?」
「辛いというより…自由じゃない、かな。」
「うち、くる?」
「え?いいの、かな。」
「おいでおいで!施設には連絡すれば大丈夫でしょ。」
「ありがとう、!ほんとに…ありがとう!」
「じゃーあ。たくさん話したことだし、クレープ食べに行かない?奢り奢り」
「いいね!久しぶりに甘いもの食べれるよ~!」
その日は本当に幸せで、自由に生きることができた。
(これが、当たり前だったらよかったのにな。)
きっと明日にはまた施設に戻らないといけない。幸せな時間はすぐに過ぎちゃう。
◆◆◆
「覇亞~~!」
「あ、|心花《みはな》。久しぶり。」
「施設…嫌じゃない?正直に言って!」
「急だなぁ…。えっと、施設は…自由にできないかな…」
「ってことは…嫌だってことで大丈夫?」
「うーん…嫌に近い感情かな。」
「じゃあさ!もう覇亞も高校生なんだから、寮とかどう?」
「寮…?」
「うん!南桜川高校にあるんだよ!きっと、覇亞には辛いことがあるんでしょ?」
「え?なんで…」
心花が少しむっとした顔で言った。
「そんなのわかるよ。何年の付き合いだと思ってるの?」
「そっか…。」
「私、なんでも協力するから!寮、少し考えてみてね。」
「わかった。」
(覇亞、絶対に…助けてあげるから)