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もう1人の自分〜第3話〜
「ねえ、S」
「何?」
誰もいない部屋で2人きりになる時間。
そんな時間にいつもすみれはSに何かしらを問うのだった。
「なんで、あなたは」
「すみれ、それは聞かない約束だぞ。」
「でも、あなたはわたし。自分のことを理解できてないのと同じじゃない。」
「いいんだよ、それで。自分のことが100%わかってる人なんて存在するかね、」
「まあ、確かに。」
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すみれはいつも仲良くしている4人組で話していた。
すみれ、西園寺、横峰、黒岩。
すみれと西園寺は中学入学時から仲が良く、すみれが学校で話すとしたら彼女だ。
横峰は部活が同じで最初はお互い退けあっていたが、今では良く喋る仲になっていた。
黒岩はもはや西園寺の彼氏的存在である。たまたますみれとも委員会が同じだったりと話すことがまあまあ多い。
「赤木、最近おかしいぞ」
「そうだよ、すみれ、最近なんかおかしい。」
横峰からも西園寺からも言われる。やっぱりバレ始めてる。
黒岩は普段あんまり話さないし、違うクラスだからまだわかっていなさそうだった。でも、きっと西園寺がいってしまうんだろうなあ。
「そんなに、何がおかしいの?」
惚けても無駄なのはわかっているが隠したい。
帰りのホームルームが終わった後、1人で屋上に行った。
ぼーっとグラウンドを見つめているとき、声をかけられた。
「気にしなくていいって。」
Sだ。いつでも出てきてほしいって思った時には必ず出てきてくれる。もちろん、出てきてほしいと思ってなくても出てきてくれる時がある。
「S。やっぱり不自然なのは辞めたい。春香にも横峰にもバレたくない。」
「俺の存在を隠したいのもわかるし、バレたくないのもわかる。だけど、俺に何ができるんだよ。」
確かに、こんな悩みを打ちあげたところでSに何ができるんだろう。
「すみれもさ、バレないように振る舞ったら?」
「え?」
「休み時間は俺と話さないとか。てか学校にいう間は出て来ないようにするよ。そのほうが勉強にも集中できるはず。」
なるほど、そうすれば解決するのか。Sと話すことが減るのは寂しい気がするけど、そのほうがいい気がする。
「困ったら人がいないところで出てくるから。」
そうか。やっぱりSは頼れるし、信用できる。
そして気づけば、Sは消えていた。
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Sと、学校にいる間は出てこないという話をした2週間後、3人から「おかしい」と言われることは無くなった。
今ではあの時はなんだったのだろうという話でおさまっている。