クォバサーレス、帰還しやしたーっ！☆ﾃﾍﾍﾟﾛ

--- いきたい…！！！ --- --- いきたい… --- --- いきたいッ… --- --- 行きたい！ --- 『＿さて‥それでは真面目に聞こう。 　君は、僕の“ペット”になってでも、生きたいのかい？』 異様に避けた口を、アイツは変な仮面からチラリと覗かせながらそう言った。 私は………いや…《《俺》》は…… － ‥生きたい……死にたくない‥。 　 ニンゲンたちなんかの身勝手で死ぬなんて、イヤダ‥ 『…__そうかい…。__素晴らしい！！それならば、君に新たな体とセッテイ、それと名前を与えよう！新たな君に元の名前では釣り合わないからね♪ 　＿だが、その前にだ。一つ、忠告と契約を結ばせてもらう』 － けいやく… 『あぁ。魂の契約＿ソウル　　をね。 　君は僕から逃げられなくなるし、僕の命を半分握ることになる。そして同時に、君は命を僕に握られる。簡単に言って仕舞えば、互いの命‥魂を半分こにして交換する､ということだね！』 悪魔のような、救世主のような、よく分からないアイツはニコリと笑ってそう言った。 正直、この頃はこんな説明を受けてもよく分からなかったが、今ではよく分かる。この契約が、契約をする時点でどれほど“互いが”危険かも…そして、契約をしたあと、自分を作り変えられる恐怖を。 － なんでもいい、せつめい､なんて受けたって、わからない。 　 早く、たすけて、死にたくない、いやだ。 『おやおや……鈍くなった思考力や生への執着は、時として毒になるよ？＿将来の自分へのね。 　まあ僕にとってはどうでもいいけれど、君がそう言うのなら手短に済ませてしまおう。少し体を焼くけれど、怒らないでね』 アイツはそう笑って言ったあと、俺の体に火を付けた。そして、炎に包まれ灰になりかけている俺の体を、炎に触れているのに笑顔のまま、グリっと押し、なぞって、文字を書いた。 文字は俺には読めない言語だったから内容はよく分からなかったが、そこに俺の新しい名前とアイツの名前が彫られていることは、何故だかわかった。 しばらくして、俺の体がミシッと大きな音をたて崩れ始めると、アイツは指パッチンをして炎を消した。…いや、別の場所に《《移動させた》》と言うのが正しい。かなり遠くの方の村から大きな悲鳴と煙、大きな火柱、そして…人の肉が焼ける臭いがして来たから、それが分かった。その間に、俺は周りの地形を大きく巻き込んで地面に倒れてしまっていた。 アイツは数分後、俺から離れると、小さな呪文か、何かを言った。 アイツが口を閉じると、みるみるうちに俺の体は縮んで、人間のような形になるまでアイツではない透明なデカい手ようなものに、こねくり回されて、人の形になった。しばらくの間は、アイツの言ってた、『せってい』とやらか何かを体に入れていかれるような感じがした。 その間にアイツは、指パッチンをしてアイツの頭上辺りに黒い穴を開けた。そこから、茶色みたいな色をした服とかが落ちて来て、アイツの頭に器用に乗った。 『さあ…新しい君の出来上がり。ようこそ、そしてさようなら＿`クォバサーレス`くん！』 アイツは笑った。 俺はこの時、“恋”と“欲情”を知り、“人間たちへの憎悪”を失った。 --- --- 「＿ﾊｯ 　…なんだ。昔の夢か‥。ッ… ｸﾞﾗ‥」 （あぁ…やﾝになっちまうな…） 彼は締め付けられるような頭の痛みに耐えながら、寝床にしていた木から飛び降りた。 「…ー‥。 　‥さてと……良い加減帰るかー‥っ~！」 （そろそろ“アブナイ時期”も終わるし〜。ヴァフィに会いてぇしぃ…♡） 彼は背伸びをすると、ニヤリと笑って大股で歩き出す。 --- 「たぁ〜しかこの辺に‥。 　_んお、あったあった〜！」 茂みの中を漁っていると、彼は不敵な笑みを浮かべ何処からか取り出した鍵を地面にぶっ刺した。無理やり鍵を360°回すと、突然足元の地面は消え去り黒い穴が生まれる。 重力に身を任せその穴に落ちると、彼は懐かしい感覚に囚われてしまう。 （…いつぶりだっけな‥？） 彼は目元の包帯を少し濡らし、それに気持ち悪さを覚えた。少し包帯を外し、落ちる時の風で乾くことを願い、晒す。 しばらくただの黒いだけの空間を落ち続けると、視界は突然晴れ、目の前には満点の星空が広がった。 「…ありゃ？なんかアイツ、機嫌が悪いな‥。*悪い夢*でも見てんのか…？」 取れ掛けの包帯で見え隠れする目を怪訝そうに細め不快感や怒りを露わにする。普段は上がりきっている口角を珍しく下げ、大きく発達した犬歯で唇を軽く刺しながら口を開いた。 「…急がねーと‥」 彼は周りに浮いてる手で落ちるスピードを一瞬落とすと体を反転させ、手を地面代わりにして蹴ると落ちる速度を上げた。 特に音を立てずに地面に降り立つと、彼は走って《《彼ら》》の家へと向かう。 ＿`最愛の人が死ぬ前に`。 --- 「ヴァフィ！！！」 扉を押し開けると、中には誰もいないかのように静かだった。 ただ、俺が声を荒げてアイツの名前を呼ぶと、やけに膨らんだベットの上の布団がぴくりと動いた。 「ヴァフィ…よかった‥。 　オイ、ダイジョーブか？」 俺は近づいて、盛り上がってる布団の上に手をそっと置いた。すると、布団の中からひょっこりと、アイツ……《《ヴァフィ》》は顔だけ出してこっちを見た。ヴァフィは、いっつも笑顔の◾️◾️を◾️けてるけど、今日は悪夢を見たせいで、それが取れてて表情が手に取るようにわかった。 今のコイツは、ひどく怯えてる。それと同時に、驚いてた。 「…クォバ‥な、なんでここに…！？」 「え、なんでって…__そんな言い方悲しぃじゃん‥__ 　そりゃあまあ…“そう言う時期”が終わったから戻ってきたって感じなんスけど〜‥」 「……」 ヴァフィを元気付けるかのように、少し大袈裟な身振り手振り､そして声の起伏を大きくしてそう言うと、歯が見えるくらい口を開けて笑いながら、チラリとヴァフィを見た。 ヴァフィはキョトンとした顔でこっちを見てて、何かしくじったかと不安になるが、ヴァフィはすぐに笑ってくれた。 「あっははっ！戻って来て早々、騒がしいんだねぇ、君は‥」 アイツが笑うと同時に、ボロボロになってヴァフィの◾️から剥がれていた◾️◾️は形を取り戻して、ヴァフィの◾️を覆ってしまった。ヴァフィは、普段のようなニッコリ笑顔に戻ってしまい、表情豊かなヴァフィの顔が見れなくなってしまったと言う悲しさが、俺の胸に残る。 「…それで…」 「､…」 「《《クォバサーレス》》……君、どこで何をしていたのカナ…？ﾆｯｺﾘ」 「…えっ…とぉ〜〜‥」 布団から出て来たヴァフィは、ゆらりと立ち上がると、俺を見下げる。普段の笑顔より笑みを深め、俺に顔を近づけた。 ヴァフィが人のことをフルネームで呼ぶのは、大抵怒っている時だ。俺はマズイ､と後退りながら片手をポケットから出して上げながら話した。 「そりゃあ、まぁ、“気”楽にのらりくらりと…そう、“木”だけに！！！」 「…」 「…」 --- 「「・・・」」 --- 俺は自分をネタにした駄洒落を言って、その場を乗り切ろうとしたが、それはただヴァフィの怒りを増させるだけで、なんの効果もなかった。 二人の間に沈黙が流れ、その沈黙を破ったのは、部屋のドアのフレームに寄りかかってこちらをじっと見ていた…“ロウ”だった。 「フィ〜、コイツどーする？」 ロウがそう言うと、ヴァフィは俺から顔を離して、意地悪っ子のようにニタリと笑みを深めて言った。 「…‥朝ごはん、抜き」 「ふ…w」 「え、ちょ、…エエェエッ？！！！！」 「ん。分かった‥w」 「オイ『分かった』じゃねェよｯ！！！！」 「おや？お昼ご飯も抜きがよかったかい？☆」 「ちっげェしそーゆーんじゃ」 「三人分作るのめんどいし昼も抜きにしてよくね？」 「！？」 「うぅん…まぁ、ロウが言うならそれでも？」 「いぇーい！w」 「ちょっとｵｫｵｵｫｵｵ？！！！」 こうして俺は、元の生活に戻った。 騒がしくて、楽しくて、`恐ろしくて`…… 世界一、 --- ***幸せ*** --- な生活に＿＿。 --- --- --- 「お前は逃れられない､何があっても」 --- 　 　 　 --- 「役目からは」 --- --- 「*`《《世界樹》》`* としての…… --- --- *世界を守る立場* としての、役目からは＿＿＿」 ---