公開中
今日のしょ〜と・しょ〜と No.6
駆け出し厨二小説家
「眠れる森の美女」のパロディです
オーロラ姫に呪いがかけられた。
「糸車に指を刺され、100年の眠りにつくが良い!」
魔女マレフィセントの言葉通り、姫は倒れ込み、深い眠りについた。
「ハーッハッハ! これでこの国も終わりさ!」
薄暗い塔の最上階で、マレフィセントは高笑いした。100年だ。国中をイバラで覆い尽くし、絶望に突き落とすには十分すぎる時間だった。
大仕事を終えた魔女が、祝杯の酒でも仕込もうと振り返った、その時である。
「……ふぁ、よく寝た」
あまりにも緊張感のないあくびが響いた。
マレフィセントは凍りついた。慌てて懐から時計を取り出す。指を刺されてから、まだぴったり30分しか経っていない。
ベッドの上では、オーロラ姫がむっくりと起き上がり、豪快に伸びをしていた。
「ば、バカな……! 100年の眠りの呪いだぞ!? なぜ起きている!」
「え? 100年? なに言ってるのこの人」
姫は首を傾げ、自分の指先の小さな傷を見た。
「私、生まれつき1日30分寝れば全回復する超ショートスリーパーなのよね。むしろ30分も続けて寝たの5年ぶりだわ。お肌に良さそう、ありがとう」
マレフィセントは戦慄した。100年分の睡眠エネルギーを、この娘はわずか30分で完全に消化・吸収し尽くしたというのか。
「というか」
オーロラ姫の目が、きらりと冷たく光った。
姫はベッドから降りると、パキパキと拳の骨を鳴らした。ドレスの袖を容赦なくたくし上げる。その二の腕は、毎日23時間30分のアクティブ時間をフルに活用して鍛え上げられた、恐ろしく引き締まった筋肉に覆われていた。
「さっき『この国も終わり』とか言ってなかった? 私、寝起きはすっごく機嫌が悪いのよね」
「待て、私は偉大なる暗黒の魔――」
「知るかーーーっ!」
100年分の魔力を込めた防護障壁を、鍛え抜かれた右ストレートが見事にぶち破った。
「ふぎゃっ!?」
顔面にクリーンヒットを食らい床を転がる魔女へ、姫は部屋の隅にあった鉄製の重い糸車を持ち上げ、容赦なく振り下ろした。
「これ、痛かったんだからね!」
「ぎゃああああ!」
数分後。すっかりボロ雑巾のようになった魔女を足蹴にし、姫はドレスの乱れを整えた。
「よし、まだ夜の8時半か。1日があと15時間もあるわ。お父様たちに魔女を退治したって報告して、それから城の庭の草むしりでもしようっと」
こうして、国を襲うはずだった100年の呪いは、わずか30分で物理的に粉砕されたのだった……
ワタクシはロングスリーパーなのでショートスリーパーはよくわからん!
普通に10時間以上寝てないと死ぬ