公開中
ep.3 それぞれの特異体質。
「ところで、凛都さんの特異体質って何ですか?教えてもらっていないので気になります。」
食事の途中でそう切り出された。
確かにどちらも情報がなく、バディになったから気になるものだろう。
「俺の特異体質は、狂人。」
「へぇ。一時的に身体能力が劇的に向上する能力ですね。」
何故か、シアンは詳しい。
「なぜ、お前は詳しいんだ?」
謎に思い、凛都は問い詰める。
シアンはやれやれとばかりに答える。
「そういうのに詳しい所で育ってきたんですよ。それ以上は秘密です。」
凛都は納得がいかなかったが、隠したがっているので、これ以上の詮索はやめておく。
「そういうお前の特異体質は何なんだ?教えてもらってないぞ。」
シアンはあぁ、とポンと手を打ち、答える。
「僕はですね。前代未聞なんですよ。なんたって、2つも特異体質があるんですよ。ほら、見てください。『異端印』が2つもあるんですよ。」
『異端印』とは、特異体質を持つ者に現れるバーコード形のアザのことだ。ある意味、神からの生体番号とも言える。
シアンは首元と腹にあり、凛都は二の腕にある。
「やっぱり、僕って神に選ばれた天才なんですよー」
シアンはへらへらと笑って言う。
「1つは異常回復。撃たれても殴られても回復します。不死と言っても過言ではないでしょう。2つ目は無痛。僕、痛覚がないんですよ。無痛症かと思ったんですが、生まれつきではないですし、後天性の特異体質かと。最強の組み合わせですよね。」
聞いたことがない。特異体質2つ持ちの人間は。
「まぁ、相性はいいんじゃないですか。あなたが戦って、僕が盾になりますよ。どうせ、死なないんですから。」
シアンは自虐のように言う。
この特異体質で苦しめられてきたのだろうか。
「お前の過去に何かがあったのか?」
凛都は心配で質問する。
「過去についてはいつかお話ししますよ。なんたって、バディですからね。まぁ、1つ言うとすると、特殊な所で育ちましたよ。"保護施設"ではない所でね。これ以上詮索はしないでください。」
納得がいかず凛都がむすっとすると、シアンはけらけらと笑う。
「そんなに僕のこと知りたいんですか。可愛いところもあるんですね。」
凛都はあからさまに不機嫌になり、それもシアンはそれさえも愛おしく感じて、笑う。
「図星ですかー?えぇ、僕のこと好きになっちゃった??」
「もう、いい。俺は寝る。」
ほんわかとした空気が漂い、激動の今日は幕を閉じた____