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本編っちゃぁ本編なんだが
登場人物紹介(すっとばしてもいいです)
高槻礼奈(24歳)
イベント会社勤務のOL兼ケータイBL小説家。
上司の朝霧蓮が編集者。このシリーズの主人公。
朝霧蓮(27歳)
礼奈と同じくイベント会社勤務のサラリーマン。立ち位置的には礼奈の上司。
イケメンなのだが腐男子。エリートなのだが仕事以外では不器用でヘタレ
高槻朝海(22歳)
礼奈の二歳違いの妹。現役大学生。
浜井来戸(27歳)
朝霧の同僚で高校から一緒に居る。最近まで海外出張をしていた。
イケメンでチャラい。
「朝海ぃぃぃぃぃ大変じゃぁぁッぁぁぁ」
「姉ちゃんうるさい。ボリュームを蟻まで下げて。ついでに存在感も」
どうも、現在妹に凄まじい毒を吐かれている高槻礼奈24歳でございます。
そして何故、私がここまで叫んでいるのか。
それは、まさかのいつもお世話になっている小説投稿サイト様から最近書籍を出した期待の作者として特集を組むための取材が来たのです!!
「という訳で朝海も絵師様として取材を受けてください」
「顔とか映ったりするなら嫌だけど」
「無論、天才絵師朝海様に立ち絵を二人分作ってもらえば何も問題ありません」
「私の仕事量増やす気なんだねOK。断ってきて」
「やだぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁっぁ。お願いだよぉぉぉぉぉ」
スライディング土下座からの足にすがりついて泣く。
もう、姉としての威厳なんていいんだ、そんなものとっくに捨てている。
「あー。もう!!うざったらしい。やればいいんでしょやれば」
「流石神様仏様朝海様!!」
「そういえば、編集者枠とかで朝霧さんに取材とかは来ないの?」
ギクゥ......
「朝霧さんは公認の編集者という訳じゃないし最近新規のプロジェクトのリーダーで忙しいから」
嘘は言ってないけど実はそういう人があったらお話伺いたいんですけど~って言われてたんだよねぇ......
ただ前回の壁ドン事件(詳しくは3話)の後パパッと何気ない顔で帰ったと思ったら話す間も無いし自分としても話しにくいから会話が......
「ふ~ん。まぁそれならいいけど」
何か謎の間がありましたよ朝海様。
察したみたいな雰囲気纏うのやめてくれ。
「とりあえず、取材の日には普段のルーティーンとか作品の思い付き方とかを聞くらしいから考えといてね」
「あいあいさー」
すぐ作業に戻ってるけど朝海よ、大丈夫なのか......
---
「いってきまーす」
「気を付けて行ってきてね~?」
毎回、私の姉は子ども扱いをしてくるくせに小説の事や面倒事となると私を頼ってくる。
本当にどうにかしてほしい。
たまにべらんめえ口調とか、どっかの方言とか出るし。
本当にどうにかならないものか。
「あれ、今日は不機嫌?」
私の顔を覗き込んでくるのは|牧《まき》。
同じ大学に通っていてたまに電車が同じになるからよく話しかけてくる。
「不機嫌ではない」
「まぁいつもぶあいそーだもんね」
「うるさい」
そもそも、この時期単位を取り終えて内定も決まってる人が多く大学には行かない人も多いのだけど私は一応聞いときたい講義があるから自主的に足を向けている。
ちなみに牧も見た目によらずその一人である。
「でも、牧講義まで時間あるでしょ。何するつもりだったの?」
「決まってるじゃーん。あの漫画カフェに行こうと思ってた」
牧が言う漫画カフェというのは漫画がたくさん置いてあるカフェで私達の行きつけ。
コーヒーゼリーが絶品なのは言わずもがななのです。
「考えることは同じって訳か」
「わーうれっし!」
そんな感じで牧は、はしゃいでいる訳だがここは電車内。
もう少し控えてほしいものです。
プシュー
電車が最寄りの駅についた事を知らせるアナウンスが流れる。
扉を二人でくぐり抜け目的の場所へと歩き出す。
「カッフェカフェ~」
「あんまり浮かれてると階段踏み外すからね?」
牧はドジな所がありそうだし私もいっしょに落っことされでもしたら堪ったものじゃない。
「その時はキャッチしてもらおっかな」
「あのねぇ......」
二人で他愛のない話をしているとすぐにカフェについた。
「いらっしゃいませ。あ、二人でしたか」
いつもイケボで挨拶してくれるマスターの雛さんが迎え入れてくれる。
「うーんやっぱり雛さんはイケボ!!」
「そうでしょうかね?」
苦笑しながら席に案内するそのしたたかさ。
どっかのチャラい会社員も見習ってほしい。
絵になる。ってか絵にしたい......
「牧さんはカフェオレにたっぷり卵サンド。朝海さんはオリジナルアイスティーにコーヒーゼリーですか?」
「流石、よくわかってます」
「あ、僕卵サンドからし入れてね!! 食べれるようになったから」
「本当ですか?牧さんの舌は子供ですから心配ですね......」
「ひどいぞ!」
雛さんに抱き着きながらこちょこちょしている牧。
仕事の邪魔になるからどかさないと
「ほら、届くの遅くなるから牧は漫画でも選んで来たら」
「朝海は何か見る?」
「私は仕事するから」
サッと鞄からアイパッドとペンを取り出す。
普段、ラフとか簡単な構想図は外出中に書く事が多い。
まぁ清書とか本番は家のパソコンで集中して書くのだけど
「あ、お姉さんの小説良かったよ!! 特に挿絵ともマッチしてたし~」
言うのが遅くなったけど牧も腐っている。
というか腐ってたから付き合いがあるわけだ。普段だったら絶対隣にいない。
「また趣味のお話ですか?」
「急にヒョコッと出てこないでください!!」
びっくりした。カウンター席だからアイパッドの画面を見られたかと思った。
「そうは言いましてもねぇ」
「ワタシハナニモカンケイナイアルヨ」
「ありまくりだろうがテメェ牧」
雛さんは笑いをこらえながらいつものを出してくれる。
「んまぁ。この濃厚な卵がおいしいんだよねぇ」
おやつの時間に軽食よりボリュームのあるサンドを食べれると思うけどそこが牧クオリティとして考えないようにしている。
さて、自分はコーヒーゼリーを堪能する。
苦味の中に豆の甘さがほんのり残ってとっても美味しいのだ。
やっぱりこのカフェでの作業には欠かせないと思う。
「あ、時間」
「ヤバいじゃん」
そんなこんなで三十分程自由時間を過ごしていたら講義の時間が迫っていた。
「雛さんありがと!」
「騒がしくてすみません。ありがとうございました」
「全然大丈夫ですよ。またのご来店お待ちしております」
最後のイケメンスマイルは心の中の素材ファイルにしまっておこう。
さて、講義まであと十分。
私達はカフェから飛び出して全力疾走していたのでした。
続
何でこんな短いんですかって?
色々とあるのよ......