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かごめかごめ 前編
♪かごめかごめ かごの中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ♪
「ユウナ!」
わたし・ランカは、今かごめかごめをしている。友達のユウナと、ケイコと、ミヅキと、ジュリと。
かごめかごめは、鬼を当てるゲームだ。1人がしゃがみ込んで、他全員が円になる。歌を歌う間、円はぐるぐると回り続ける。歌が終わった時、しゃがみ込んだ1人の後ろの正面にいる人を当てるゲームだ。当てられなかったら当てる人はそのまま。当てたら、当てられた人が当てる側に回る。
「残念!ミヅキでした〜」
「えー…そんなっ」
5時を知らせる放送が鳴り響いた。遊歩公園をみんな、飛び出ていく。5時には帰らなければいけない。
今回の負けはわたしかぁ…
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「え、ケイコとミヅキが休み?」
「そうなの。あたしもびっくりしたんだよね…だって、昨日まであんなに元気だったでしょ?ランカと、ユウナと、あたしはつまらないじゃない。だって2択なんだもん」
「かごめかごめができないんだよね。せめて4人は欲しいのに。あたいと、ランカと、ジュリでやるなんて嫌だ」
1人が当てる側になると、後はもう2人しか残らない。つまり、当てる確率が50%に一気に跳ね上がるのだ。間が大きいから、逆に真後ろがいないなんてことも、十分有り得る。
「取り敢えず、誰か誘ってこなくちゃ。今日も遊歩で集合ね」
「わかった」
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「あれ、あんな子、いたっけ?」
「本当だ」
遊歩公園に人がいるなんて珍しい。いつもがら空きなのに。
「あら。なにか困っているようね」
小綺麗な女の子が、わたしたちに話しかけてきた。
「いつも、あたいと、ランカと、ジュリと、ケイコと、ミヅキでやってるの。でも今日は、ケイコとミヅキがいないから、かごめかごめができないんだ」
「かごめかごめ?ふふ、わたしも大好きよ。良ければ一緒に遊ぶ?」
「本当?!ありがとう!」
じゃんけんで負けたわたしは、当てる側になった。
♪かごめかごめ かごの中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ♪
そういえば、あの女の子の名前を聞いてなかったな…誰だろう。
「きゃあっ?!」
ユウナか、ジュリかの悲鳴が聞こえた。
「大丈夫っ!?」