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第1章:囚われし光《アンドロメダの再契約》
星環領域《セレスティア》―― 空と地の狭間に浮かぶ、記憶の残響が集う場所。 そこには、かつて星霊たちが封印された祠が点在していた。 空白の星座が広がるたび、星霊の声は沈黙し、空はその輝きを失っていった。
ティナは、静かにその地に降り立った。 彼女の瞳には、星の痕が宿っていた。 それは、かつて空に還った巫女の証。 だが今、彼女は転生し、記憶の断片だけを抱えていた。
「アンドロメダの祠に行かなきゃ」
ティナは何故かそう思った
祠は、湖のほとりに佇んでいた。 水面は鏡のように静かで、空の星々が映っていた。 だが、そこにアンドロメダ座の姿はなかった。 彼女の記憶は、再び鎖に縛られていた。
ティナは、祠の前に立った。 風はなく、空気は澄んでいた。 だが、彼女の胸には、微かな痛みが走った。
「この場所…知ってる。 でも、どうして涙が出るの?」
彼女の手が、祠に触れた瞬間―― 星霊の声が、静かに響いた。
「私は、囚われの星霊。 鎖に縛られ、空を見上げることもできない。 あなたは、かつて私を解放した者。 あなたの祈りが、私の光だった。 だが今、私は再び封印された。 空白が、私の記憶を奪った。 あなたは、もう一度私を呼び覚ませるか?」
ティナの心に、過去の記憶がよみがえる。 星霊との契約、祠の光、涙の祈り―― それは、遠い昔のようで、昨日のことのようでもあった。
「私は…あなたを知ってる。 あなたの痛みも、光も、覚えてる。 だから、もう一度――私の祈りを受け取って」
ティナの手が輝き、空に魔法陣が展開される。 星の鎖が砕け、祠を包む光が広がる。 水面が揺れ、空が震え、封印が解かれていく。
アンドロメダ・ヴァリアント 鎖を断ち切る光の盾。 味方全体に防御強化+拘束解除。 星霊の記憶を解放する、祈りの魔法。
祠が光に包まれ、アンドロメダの姿が現れる。 彼女は、静かに微笑んだ。
「あなたの祈りが、私を再び空に戻した。 ティナ――あなたは、星霊の巫女。 あなたの旅は、まだ始まったばかり」
空に、アンドロメダ座が輝きを取り戻す。 星環領域に、微かな希望の光が差し込む。 星霊たちの声が、少しずつ戻り始める。
ティナは、祠の前で静かに息を吐いた。 その背後に、仲間たちが集まっていた。
アルモニが、星の旋律を感じ取る。
「星霊の音が、少しだけ戻った。 次は、俺の番かもな」
無名が、笑いながら言う。
「ティナちゃん、かっこよかったよ。 星霊魔法って、やっぱすげぇな」
Sara.は、魔法構造を冷静に分析する。
「魔法理論が安定してる。 星霊との再契約は、理論的にも可能だ」
ちゃいは、祠の影を見つめながら呟く。
「夢の中で、虚星が動いた。 次の封印は、もっと深いかもしれない」
ティナは、空を見上げた。 そこには、まだ輝きを取り戻していない星座があった。
「次は…ペガスス座。 自由と孤独の星霊。 彼の記憶を、取り戻しに行こう」
そして、五人は再び歩き出す。 星霊の記憶を巡る旅は、まだ始まったばかり。