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隠れスパイは、そこにいる。#1
高校一年生の中鈴 利亜(なかすず りあ)は、夏休みを待ち構えていた。それと同時に、学校に行くことに対して憂鬱感が生まれ始めた。残り夏休みまで5週間を切った日、利亜は不登校になった。終業式になり、久しぶりに学校に行くと、空の引き出しに、“何か”が入っていたー
私は高校一年生の、|中鈴利亜《なかすずりあ》。そろそろ一学期が終わるから、夏休みを待っています。夏休みまであと8週間。
あーあっ、夏休みは、宿題を除けばいいことばかり。
8週間なんて、待ってられない。
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〈3週間後〉
夏休みまで、あと5週間も切った。
学校に行きたくない。
夏休みが明日になればいいのになぁ?
待ってられない。
あと5週間なんて待ってられるかよ。
無理に決まってるだろ。
ー私は不登校になることを決意した。
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〈終業式の日〉
終業式の日がやってきた。
出席日数はギリギリ足りた。
うちの高校は、出席日数の縛りがかなりきついから、よっぽどの理由がなければだいたい30日くらい休めば退校。
30日間は、5週間の間学校に登校する回数+5日そのもの。
そう、私は5週間不登校になった。
でも、5週間の間学校に一度もいっていない。
そのほかにも、風邪などの理由で3日休んだことがあるから、28日休んだことになる。
あと2日休んでいれば…考えたくもない!
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何気なく引き出しを開けた。
中には、通知表と、筆箱と、スマートフォン、そして手提げしか入っていない。
そして意味もなく、通知表、筆箱、スマートフォン、手提げ。それの一番下、引き出しの一番深いところを見た。
何か、一番深いところに何かあると直感を感じたから。
なんでこんなことしたんだろ。
不運にも、直感は通じてしまった。
「なにこれ。紙?」
そこには、少し見えにくかったけれど、黒い封筒をさりげなく光っている金色のシールで止めてあり、「SPY」と書かれた横文字筆記体の白蛍光色のシールが貼ってある、怪しいバイトの招待状のような封筒が入っていた。
気味が悪いから、その時は見ることができなかった。
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「ただいまー」
家に帰って、一目散に自分の部屋まで駆け込んだ。
重い荷物を一度おろして、カバンの中に入っていた黒い封筒を改めて見た。
「これ、筆記体のシールじゃなくて、明らか蛍光ペンで書かれた横文字だよね」
いやらしい感じがした。普通、たくさんの人に勧誘目的で封筒を入れているのなら、いちいち蛍光ペンで描いてる暇なんかない。だから、シールで貼っている、それなら通じる。けれど、いちいち手書きで書いていると思うと、《《一部の人にしか渡していない》》ということかもしれない。ますます、いやらしい感じと、恐怖に似ている感情が生まれた。
「というか、なんで一番下にあったんだろう」
なんで引き出しの一番深いところにしまったのか。理由はすぐにわかった。不登校だ。
みんなも経験したことあると思う。長い間学校を休んでいると、教科書やらを入れる前、休んだ時に配られたプリントが引き出しに入っていることが。その上に教科書を詰め込むと、教科書の下に休んだ時に配られたプリントがある。それと同じ。だから私が休んでいる間に配られた可能性もある。
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封筒を開けてみる。
封筒の中には、銀色の封筒と黒色の紙。銀色の封筒は、黒い封筒(10センチくらい)の2分の1の大きさでかなり小さい。黒色の紙もそれくらいの大きさ。
黒色の紙を読んでみよう。
折り曲げたあと、ホッチキスで止められてある。私はその針を、一つずつ、一つずつ丁寧に取った。それで読めるかと思ったら、黒い髪が破れてしまった。
「ああっ!これじゃあ…」
思わず叫んでしまった。
だけど、黒い紙の中に、白い紙が入っていた。
「まさか」
白い髪を黒い髪が包んでいたみたい…
それに何か文字が書いてあった。
筆記体文字で何か書いてあった。
「2022// ℛ𝒾𝒶 𝒩𝒶𝓀𝒶𝓈𝓊𝓏𝓊」と書いてある。
なんで私の名前を知っている…?
その下には「5121」と書いてある。
次は封筒。
封筒には、「ロック」ボタンが付いている。これもシール?かと思ったら、
「立体だ。」
ボタンなのだろうか。押してみる。
カチャ、という音がして、画面が「1234567890*」の数字と記号がキーボードのように表示された。
さっきの5121は、このパスワードのようなものの答えなのだろうか?
「5、1、2、1、…完了っ」
封筒が自動的に開いた。なんだか、近未来的だなぁ。
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「よくここまで辿り着きましたね。おめでとうございます。あなたは、スパイにふさわしい。さて、中鈴利亜さん、『プラススパイアカデミア』ご入会を考えてほしいのです。直感のスカウトで、あなたの机の中にこっそり封筒を入れました。もし興味があったら、電話をかけてもらえると嬉しいです。」
と、書かれていた。下には電話番号がかかれていた。
早速、その電話番号に電話をかけた。
「はい。プラススパイアカデミアです。この電話番号は、黒い封筒をもらった人又はアカデミアスタッフの方しかご利用できません。封筒をもらった方の、興味があった方は、『1』、スタッフの方は『2』、その他のご用件の方は『3』を押してください」
と、アンドロイドの声で説明をされた。私は、1を押して、そのあとの名前を入力する工程や、パスワードの入力も経て、やっと封筒の主の方とお話ができた。
「あの…もしもし…」
ちょっと中途半端ですが、終わりです!
次回をお楽しみに!