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縁結び屋 氷の縁結び娘は初恋に出会う。③〜魂の繋がり〜
ぎゃああ!本文が消えたあああ!
えー、今わたくし九条藍李実にばぐっております、ファンレターくだせぇ!
(なんで…?)
「お前も着とけ」
「は?」
少し時間を遡りー
「これが、私…?」
夏美は垢抜けた自分を見て、「はぅ」とか「ほぅ」とか言いながら感動している。
普通の縁結び屋や、結婚相談所ならば頑張ってお化粧をするのだろうが、美氷はいつもすっぴんなので、化粧の事は分からない。能力任せだ。
一方拓海は、
「うぐぅ、ぐはぁ…」
なかなか苦戦しているようである。
「どうしたんですか」
「糸が!絡まり過ぎてんだよ!」
夏美とその相手、|鈴木紀久《すずきのりひさ》はなかなか好感を持たれていたようで、拓海は縁結びの糸をほどいたり、違う人と結んだりしているようだ。
(…いいな)
縁結びの能力者のくせに、糸さえも見えない自分とは大違いだな、と美氷は思った。
縁結びの能力者が糸も見えなくてどうする。
「おーい、何感傷に浸ったんだ?」
拓海は悩みなんてなさそうだ。
「…、なんでもありません」
「じゃあ情報くらい言わせろ」
すいませんでした、と美氷は軽く頭を下げる。
「えーと、都シティホテルのパーティで今日は縁結びをする。だが厄介なのがなぁ…」
「どうしました?」
宇宙船で宇宙に行くより面倒くさそうな顔をしている。
「それを主催してるヤツの娘が、俺の婚約者だ」
…コン、ヤク、シャ…?
「えぇ…拓海を好きになってくれる人が居たんですか…?」
それが一番最初の疑問である。
「失敬な!…まあ、家同士の政略結婚だよ。雪下は石との相性が抜群だからな。兎糸の次に政略結婚が多い家だ」
へ〜…(何も分かってない)
「兎糸に居るお前の姉が嫁いだら、兎糸は直系がゼロの状態になるからお前を探しにくるかもな」
(それは嫌)
美氷はもう平穏に生きたい。というか、最初から平穏な道か蔑まれる道しか天は選ばせてくれなかった。人間がどちらを選ぶか、だなんて明確だ。
「…で、パーティの事だが…」
「はい」
「今日はお前が使ってるイジメ方法は使えない。一瞬でつまみ物になるからだし、相手は男だからな…。だから今日は接近戦だ」
そして、ここまで来たと言うわけである。
「縁結びの石って無いんですか?」
「あったらお前の存在価値はもっと下がっちまうだろ」
ごもっともである。
「ま、という訳で着替えとけ。よそ行きの一つ二つあるだろ?」
…あるわけないじゃないですか!
孤児院育ちがそのような物を持っている訳がない。
「…、兎糸、後でどーなるか分かってんな…」
経費が高いのは嫌だーと拓海が叫びながらさっと
黒いカードを取り出す。
「な、なんですか、コレは?」
「ブラックカード。コレ、経費。着物かドレスか、適当に買ってこい」
…ブラックカードで着物かドレス買ってこいって。なかなか、うん。
金持ちだなあ、という他ない。
「えっっとぉ、どの着物とドレスを買えば…?」
はー、と拓海は大きな大きなため息をついた。
「…女は普通にそういうの好きだと思ってた俺が悪かったみたいだな」
「…拓海の周りの人は、みんなそうなんですか?」
おしゃれ好きなのかもしれない。
「…いや、家族も、みんなただ…」
そう言おうとした拓海は、途中で何でも無い、と誤魔化した。
「え?」
「いや、何でも無い。いいから行くぞ」
ーと言うわけで、私は着物かドレスを買いに行くことになりました。