公開中
#10 地球最後の日
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
ルイスside
その日、僕は偶然会った敦君と探偵社に向かった。
いつも通りの日常を想像していた僕が目にしたのは、はっきり言って異常な光景だった。
「ねぇ、これ如何いうこと?」
「だ、太宰さんがちゃんと仕事してるじゃないですか!」
その気持ちは分かる、と奥から谷崎君の声が聞こえた。
朝からずっとこの調子らしく、真面目に仕事をしているらしい。
「ちなみにこれを目撃した国木田さんは、ショックで寝込みました」
うわっ、凄い魘されてるんだけど。
「うぅ…遅刻にサボり、ずる休み上等の太宰が何と定時十五分前に椅子についていたのだ! もう耐えられん…俺はダメだ」
「逝ったー!?」
「国木田君、床に寝たままでいいの?」
「あまり良くないですね。ソファーへ運びます!」
力のある賢治君が、軽々と国木田君を運んでいく。
その間に太宰君はテキパキと指示を出していた。
変なキノコでも食べたんじゃないのかな。
「ルイスさんも暇ならコピーを取ってきて貰えませんか?」
「僕、探偵社員じゃないんだけど」
そうでした、と太宰君は自身で動いた。
心を入れ替えたにしては変わりすぎだし、入れ替わり系の可能性も低い。
異能力による影響とも考えにくい。
そもそも太宰君は『異能無効化』でその類は一切効かないからだ。
「いやー吃驚しちゃいましたよ。今日は太宰さんの所為で雪でも降るんじゃないですか?」
「いやいや槍かも」
「カエルなんて降ってきちゃったりして」
「太宰が働くなど、地球滅亡の前触れかもしれん」
あ、国木田君が復活した。
にしても酷い言われようだな、太宰君。
そんなことを考えながらふと空を見れば、雲行きが怪しくなってきていた。
今日は晴天の予報だったはずだが─。
「─雪だ」
珍しいこともあるものだな。
「大変だ! 空から槍が降ってきたぞ!?」
「今度は空からカエルが! 今日は一体何なんだ!?」
外からは大勢の人の困惑する声が聞こえてくる。
敦君達、盛大にフラグを建築してたんだな。
「あれ、確か国木田君─」
『臨時ニュースです。超巨大隕石が横浜に向けて落下していることが判明しました。隕石が回避できる確率はほぼゼロと政府の見解は…』
突如流れてきたラジオ。
隕石が降ってくるとか凄すぎるな。
そう、人生に何回も経験できることではない。
僕が呑気に小説を読んでいる間、四人は太宰君を急いで机から引き剥がそうとしていた。
中々離れない太宰君のせいで、人類滅亡(するかも)のカウントダウンは進んでいく。
「─仕方ない」
そういう面倒くさいところも治ってくれたら良かったのに。
小説を机へと置き、太宰君の元へ向かう。
敦君達を避けさせた僕は──。
「ひぃ!?」
──太宰君の脳天へと踵落としを決めるのだった。
敦君と谷崎君は頭を抱えている。
国木田君と賢治君も痛みを想像してか、あまり顔色は良さそうではなかった。
ちなみに太宰君はクラッ、と頭を抱えながらそのまま後ろへと倒れた。
怪我させるわけにはいかないので、そのまま異能空間へと転送する。
彼処には仕事なんてない。
『速報です! 隕石は軌道を変え、衝突は免れました。奇跡以外の何物でもないと有識者は…』
地球は滅亡の危機を免れた。
指を鳴らすと太宰君は戻ってきて、まだ蹲っていた。
座ってる太宰さんの脳天に踵落としって、結構ヤバくね?
足上がりすぎだよ、ルイスくん。