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暴走
拳銃が玉切れになるまで撃った。〇〇はまだ使っていない。無心で戦い、ついに64階まで来た。誰もいないが、誰かが住んでいたような痕跡があった。もしかすると私たちと同じ○○かも知れない。そう思うとはらわたが煮えくり返りそうになった。机と椅子に簡易的なベッド。本が数冊入っただけの本棚。机のところには窓があった。机に手をつき、外を眺める。満月がきれいだった。ここに暮らしていた人は、外にも出れずここに暮らしていたのか。はたまた都合のいい‘‘道具’’として扱われたのだろうか。まるで童話の塔に閉じ込められたお姫様みたいだと思った。お姫様はハッピーエンドで終わらなかった。ヒーローの私たちの登場が遅れたから。悪役の老婆にずっと中に閉じ込められていたのか。今思うと、とても申し訳なかった。それは澪の妄想かもしれないが、もし本当なら謝りたい。拳銃の玉を補充し、ため息をつく。階段を駆け上がったせいで疲れているのだ。まだ六割のところだが。時計を確認すると1時3分。いつもなら寝る準備をみんなでして、それぞれの部屋に戻って寝ている時間。それができないのは少し寂しかった。誰かが罠だと気づいてくれているだろうか。碧唯や弥都あたりなら気付いているかもしれない。でも、来ないでほしかった。こんな普段と違う自分をさらすのは怖かった。ずっとこの距離感でいたい。無理なのはわかっているが、願うしかなかった。早く帰ろうと思い、扉のほうに向きなおって歩き出したその瞬間。
ガッシャーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!
予期せぬ爆音が後ろでした。
驚いて振り返るとそこには、待っていて、来ないでほしかった人たちの姿があった。
「ちょっと莉里!これバレるって!」
「えごめんでも潰すかr…」
二人と目が合った直後、それはぼやけて歪んで霞んでしまった。
「え、ちょ澪大丈夫?!」
わたわたする莉里をしり目に私は泣いた。泣くのなんて久しぶりで、自分でも驚いた。碧唯も少しわたわたしていた。
「澪、使ってない?」
と碧唯が聞く。こくんとうなずくと、少し頭をなでてこういった。
「もう事情はみんなに伝えてる。ちょっとしたら援軍も来るからがんばろう」
そして澪はこう言った。
「うん。でもね、一つお願いがあるの。」
やっと望んでたものになってきたあ!