公開中
やけくそ 。
「 おまたせ 」
駅で待ち合わせをした彼氏に声をかける 。
イヤホンをしていたのか 、 2回くらい呼んでようやく気付いてくれた 。
『 あぁ 、 別に全然まってない 』
「 そっか 、 じゃあいこっか 」
いつものようにデートして 、 笑顔でわかれられると思ってた 。
『 もう別れよ 、 好きな人できた 』
突拍子もなく 、 こちらを一瞥もせず彼氏は言った 。
「 なんで 、 ? 」
『 だから好きな人できたっつったじゃん 』
『 そういう執着してくんのきもいし 』
そう冷たく言った彼は 、 スマホを見たまま歩きだした 。
ほっぺに冷たいものを感じて上を向くと 、 雨が降っていた 。
あいにく今日は傘を忘れてしまった 。
まるで雨が俺の気持ちを表しているようで 。
雨が強くなりそうだったから 、 慌てて近くのお店に入り込んだ 。
中を見渡すと 、 オシャレなバーっぽい 。
しっとり系のクラシックがエンドレスで流れている 。
どうせならやけくそで飲んじゃおうと思い 、 カウンター席に腰掛けた 。
お酒の種類はわからないけど 、 お酒は強い方だからと適当なものを頼んで一気に飲み干す 。
「 すいませ 、 これもういっこください 」
その調子でお酒を入れていると 、 すっと横にお酒が置かれた 。
頼んだ覚えもないので首を傾げる 。
??「 ひとり ? 」
「 … え 、 あの 」
??「 おにーさん荒れてんね 、 話聞きましょーか ? 」
「 … 誰ですか 、 」
??「 名前言ってもいいけど聞いたところで分からなくないですか ? 笑 」
「 … 確かに 、 」
??「 まぁいいや 、 俺目黒蓮って言います 」
整った名前だな 。
そう思って顔を見てみると 、 ふっと微笑まれる 。
顔まで整っている 。
きっと彼女候補とか手に余るほど居るんだろうな 。
「 … 目黒さん 」
目黒「 あ 、 全然呼び捨てでいーっすよ 」
目黒「 見た感じおにーさんの方が年上でしょ 、 何歳 ? 」
「 … 今年で33ですけど 」
自分で言って悲しくなった 。
33で振られてやけ酒って結構やばいかも 。
目黒「 おにーさんも名前教えてよ 」
ほんとはこういうの教えないほうがいいのかな 、 なんて回らない頭で考える 。
怪しい勧誘かもしれないし 。
シラフなら絶対断るけど 、 まぁいっかなんて思ってしまった 。
「 宮舘涼太 、 です 」
目黒「 へー 、 名前かっこい 」
目黒「 もしかして舘って館じゃない方 ? 」
「 あ 、 そーですけど 、 」
目黒「 ですよね 、 そっちの方がバランス良くてかっこいい 」
目黒「 あ 、 俺28なんでタメにしてもらっていいっすよ 」
「 え 、 あ 、 うん … 」
目黒「 あと名前も 、 目黒って呼び捨てで構わないです 」
「 わかった 、 」
目黒「 んー俺なんて呼ぼっかな 、 宮舘さんじゃ堅苦しいかな 」
少し考え込んだ目黒さ 、 … 目黒はぱっと顔を上げた 。
目黒「 舘さんってどお 、 響き良くない ? 」
「 確かに … うん 、 それでいいよ 」
目黒「 やった 、 じゃあ俺が舘さん呼び第一号っすね 」
そう言ってにっこり笑った目黒 。
その笑顔に 、 ほだされてしまったのかもしれない 。